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劇団ひとり、ビートたけしの若き日を映画化。“信者”以外にも伝わるように

 芸人だけでなく、タレント、作家、俳優などマルチに活躍を続ける劇団ひとり(44)が、監督と脚本を担当したNetflix映画『浅草キッド』の配信がスタートした。ビートたけしが作詞・作曲した同名曲と自叙伝をベースに、浅草での下積み時代を描いた青春ドラマで、「幻の浅草芸人」と称された、ビートたけし唯一の師匠であった深見千三郎との絆を描く。
浅草キッド

Netflix映画『浅草キッド』

 劇団ひとりが監督を務めた前作『青天の霹靂』で、主演を務めた大泉洋が深見千三郎を演じ、柳楽優弥が若き日のビートたけしに扮する。
劇団ひとり監督

Netflix映画『浅草キッド』で監督を務める劇団ひとり(44)

 監督へのインタビューで、本作実現への思いや主演2人のキャスティング理由、決めセリフ「芸人だよ、バカ野郎」演出秘話、さらにはNetflix作品だからこそのこだわりを直撃。また、人気芸人の座に留まらず、新しい挑戦を続けて次々と夢をかなえていく監督に、理想を現実化する秘訣をうかがった。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます

ビートたけし信者以外にも伝わるエンターテインメントに

劇団ひとり――脚本はもちろん、映像的にも素晴らしかったです。特にどこにこだわりましたか? 劇団ひとり:それほど派手は話ではありませんが、ちゃんと映画としてエンターテインメントにしたいと思いました。僕みたいにたけしさんの信者だけが満足できるのではなく、言うなればたけしさんに興味がない人、知らない人が観ても面白いと思えるものに、多くの人に伝わらなくちゃいけないというのはすごく意識しましたね。脚本で気を付けたのは、たくさんあるエピソードの取捨選択です。それと主役2人はもちろん、ほかの登場人物たちの心の機微も画面を通してちゃんと伝わるように意識しました。 ――映像的には。 劇団ひとり:時間経過の見せ方ですね。たとえばダンスのシーンでくるむとか。それもただ時間経過のために出すのではなくて、ダンスはダンスでショーとして面白いものになるように気を使いました。 浅草キッド――幾度も登場する、浅草フランス座のエレベーター内での深見師匠とタケシのやりとりの見せ方なども面白かったです。 劇団ひとり:あれね、長野で撮ったんですけど、すっごく寒くて。ふたりの息が白くなっちゃうんです。だから氷を食べてもらったりして、結構大変でしたね。

「伝わる」ようにと同時に、「伝えすぎない」ように

浅草キッド――そうなんですね! さて、今もお話しに出た通り、監督自身は「たけしさんの信者」です。ずっと実現したい企画だったとか。 劇団ひとり:原作を10代のときに読んで感銘を受けまして、そこからずっと『浅草キッド』の世界観が好きでした。泥臭い芸人の世界にすごく憧れたんです。僕は2冊の小説(『陰日向に咲く』『青天の霹靂』)を書いていますが、両方とも浅草が舞台です。それは根底に『浅草キッド』が流れていたからです。そこから1本自分で映画を撮らせてもらった(『青天の霹靂』)後に、次何か撮りたいなと色々考えてみたんですけど、どうしても『浅草キッド』が気になっちゃって。今まで小出しに『浅草キッド』感を出してはきたものの、やっぱり『浅草キッド』そのものが撮りたいなと。それで7年くらい前から脚本を書き始めて、方々に持って行って断られ、決まりそうになっては消えを繰り返し、Netflixで実現したわけです。 ――思い入れが強すぎると客観性が失われそうですが、きちんと伝わる作品になっています。熱い思いを抱きながらも常にきちんと俯瞰でジャッジできている自分がいるのでしょうか。 劇団ひとり:そうですね。伝わらないと意味がないので。たとえば、役者の方が、どんな演技プランを持って、どんな心構えでやろうが、それが表に出てこないと意味がない。なので、そういう風に見える表情が出てくるまで粘ります。観る人に「伝わる」ようにというのは、ずっと気を付けてましたね。あとは伝えすぎじゃないかどうかも。伝えすぎちゃうと、醒める部分があるので。全部は説明せずに、ある程度はお客さんに読み取ってもらう“間”も必要だと思っています。 ――絵コンテは描かれますか? 劇団ひとり:描きます。僕なんてやっぱり畑違いの人間なわけですけど、現場に絶対に迷惑をかけたくなかったので、できることは全部やろうと。最初の映画のときもそうでしたが、絵コンテは何度も推敲して描きました。
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大泉洋と柳楽優弥を選んだワケ
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●『浅草キッド』はNetflixにて全世界独占配信中
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