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バルミューダフォンに早くも暗雲。過去のKDDIの失敗に見る“デザイン携帯”の難しさ

iPhoneの登場により状況が一変

 その状況は、iPhoneの登場により一変します。本格的なスマートフォンの時代になり、au Design projectも、初のスマートフォン“INFOBAR A01”を発表します。デザインを、初代INFOBARを手がけた深澤直人氏が引き続き担当。独自ユーザインターフェース(以下 UI)を、世界的ウェブデザイナー中村勇吾氏が手がけることに。  初代INFOBARを連想させるデザインは大きな話題となりました。周りの人と違うデザインのスマホを持ちたい。iPhone以外のスマートフォンを使いたい。そういったニーズがあったのです。筆者もその一人でした。  外見は良かった。しかし、「中身」に問題がありました。

スマホは「外見より中身」

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INROBAR A01の独自UI。縦スクロールを採用している

「動作が不安定」だったのです。  中村勇吾氏のデザインしたUIは秀逸でした。iPhoneと対抗するかのような「縦スクロール」。アプリだけではなくリサイズした写真もホーム画面に配置できるカスタマイズ機能。しかし、当時の不安定なOSと貧弱なCPUには「過剰装飾」でした。負荷がかかりすぎ、動作が不安定になったのです。価格比較サイトには、 「起動に5分」「メール打っててブラックアウト」 「フリーズ当たり前、タッチ操作はついてこない」 「見てくれに惑わされて購入したが、とにかく使えない」  など悲鳴に近いレビューが。さらに、この独自UIを搭載したため、OS(Android)アップデートが困難、という問題もありました。周りと違うデザインのスマホを持ちたい。そう思いINFOBAR A01を購入した筆者は思い知らされました。  デザインやUIなどの格好良さよりも、操作性・利便性・安定性が大事であると。そして、契約期間終了を待たずiPhoneに乗り換えることに。価格比較サイトにも、同様の人が多かったようです。その後、au Design projectのスマートフォン開発は、後継機種INFOBAR A03を最後に終了することとなります。
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バルミューダフォンの「実物の印象」は?
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