リモートワーク中心の生活で失われたもの「業務の効率化は進んだけれど…」
マスク着用が当たり前になってしまった生活では、外で出会ってもほとんど表情を見ることなく人と会話をする。しかし、リモートワークが主流になった今、オンラインであるがために人の表情を見ながら会話ができる。
距離が近くても相手の一部しか見ることがないのと、お互いの顔を見ているのに距離が遠いという、実にちぐはぐなニューノーマルな時代が到来した。
そんな窮屈な時代に求められる新しいコミュニケーションのあり方とは? 存在しない日本語を開発、勝手に紹介していくという『妄想国語辞典』が注目を集めるコピーライターの野澤幸司氏に新時代のコミュニケーションについて聞いた。
――リモートワークはコミュニケーションの形をどう変えたと思いますか?
野澤:効率化という点では、ものすごく進化したと感じます。移動時間などが削られた分、コロナ禍以前よりもこなせる打ち合わせの本数が増えた気がします。その反面、「一見効率的に見えない行動だけど、実は大事なコミュニケーション」まで削ぎ落とされてしまった感は否めません。
例えば、居酒屋の雑談とか職場での井戸端会議とか……。テレビ会議中に無駄話をすると、「ああ、すみません」ってなったりしますよね。
――コロナ禍で人との関係性をつくるのに悩んでいる人も少なくありません。
野澤:特に新入生や新社会人など、新しい環境に飛び込んだ人たちは大変な状況だと思います。自分がやっていることといえば……今は新たに知り合う人が以前より少ないので、家族、友人、職場の人など、既知の人たちとの関係を意識的に大切にすることくらいでしょうか。
「これから」が不明瞭すぎる世の中。だったら「今」とか「これまで」を大切にすることくらいしかできないですよね。
――コロナ以降のコミュニケーションはどう変化していくと野澤さんはお考えですか?
野澤:リアルやアナログなものの尊さにみんな気づいたので、そういうコミュニケーションが再評価されると思います。一方で、リモートワークによって「会わなくてもなんとかなる」場面もわかったので、対面とデジタルを両輪で使い分ける日常になるような気がしています。
削ぎ落とされた「実は大事なコミュニケーション」
「これから」が不明瞭すぎる世の中
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『ニューノーマル 妄想国語辞典』 リモートな暮らしの中で生まれた新しい言葉「リモーソウ言葉」が登場 |
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