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2022年冬ドラマ、注目3作品。黒木華、高畑充希、清原果耶…主演女優たちの演技力に期待

黒木華『ゴシップ』。ネットニュース編集部を立て直せるか?

ゴシップ

公式ホームページより

 1月期の連続ドラマが始まる。13枠ある民放のGP帯(午後7時~同11時)の連ドラのうち10枠が新作になる。面白そうな作品がそろっているが、中でも気になる3本をご紹介したい。  まず黒木華(31)が主演するフジテレビの『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇』(6日スタート、木曜午後10時)。黒木の連ドラ主演はTBS『凪のお暇』(2019年7月期)以来で、フジでの連ドラ主演は初となる。  物語の舞台となるのは大手出版社が運営するネットニュース「カンフルNEWS」の編集部。ダメ社員たちがお手軽な記事ばかり量産するから、絶望的に人気薄で閉鎖寸前だった。  その編集部に経理部から異動してくるのが、黒木演じる瀬古凛々子。空気を読むのが不得手であるものの、真っ直ぐな性格の持ち主で、類い稀なる探究心と洞察力を持っていた。  経理部では伝票の不正を暴くことに長けていたことから、ギリシャ神話に出てくる番犬の「ケルベロス」と呼ばれていた。編集部に移った凛々子はゴシップを売り物にすることによって月間50万程度しかないPV数(閲覧数)を同5000万に伸ばすというムチャクチャな目標を掲げる。異色の人材が加わったことで編集部は立ち直るか――。

あの名女優も認めた黒木の演技力

 ドラマや映画、演劇で大切なものは「1に脚本、2に役者、3に演出」と言われる。これは古くからの定説であり、海外でも同じ。  もっとも、この作品では黒木に目を向けたい。その演技力は現役女優の中で間違いなくトップクラス。2014年に弱冠23歳でベルリン国際映画祭の最優秀女優賞(銀熊賞)に輝いたのはダテじゃない。  演出家の野田秀樹氏(66)に見出されて、舞台『ザ・キャラクター』でデビューしたのは2010年。それから11年が過ぎたが、連ドラの仕事は絞っているらしく、数年に1度のペースでしか主演しない。だから見逃したくないところだ。  黒木の演技のどこが凄いかというと、いかなる役柄を任せられようが、自分をその人物に見せてしまうところ。善人も悪人もお手のもの。小説や漫画などを原作とする作品の主人公を演じると、原作のイメージを超える演技をしてしまう。  よく「憑依型」とか「カメレオン型」という言葉がうまい役者に使われるが、黒木は違う。そんなオカルトめいた存在ではない。努力で得た技術がある。黒木に限らず、ほかのうまい役者もそう。演出家はみな同様のことを言う。  黒木は幼いころから大阪の児童劇団での活動に打ち込んだ。高校は演劇部が全国大会で優勝したこともある名門・追手門学院に進学。もちろん演劇部に所属し、1年の時から絶対的エースとなる。ずっと主役を張り続けたが、その分、練習も人一倍やった。  大学は京都造形芸大芸術学部の映画学科俳優コースへ。在学中の20歳の時に前出の『ザ・キャラクター』に出演した。すると、その演技が評判となり、スター女優の階段を登り始める。  2018年の主演映画『日日是好日』の完成試写の場では助演した故・樹木希林さんが「黒木さんで主演に決まりそうだと聞いたので私も出ることにしました。映画界を背負って立つ役者さんだと思って期待しています」と語り、取材陣を驚かせた。後輩女優への言葉が厳しいことで知られた名女優も黒木にはゾッコンだった。
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高畑充希主演の『ムチャブリ!』
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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