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透明性を上げるはずが再び逆行!? 横浜市長に就任した山中竹春市政で記者会見参加条件厳格化が加速

一連の問題の根本原因、記者クラブ制度

 何度も名前が出てきた「横浜市政記者会」という記者クラブの立ち位置を理解できない方も多いと思うので、最後に補足させてください。まず、横浜市政記者会は取材対象(横浜市および横浜市長)から主に以下のような便宜を受けているため、厳しい質問がしづらい事情があります。 ・横浜市役所の建物内に専用の記者室が用意される。記者クラブは記者室のコスト(賃料、光熱費などの諸経費)を負担しないことが一般的であり、癒着の温床になりやすい ・記者室は会見室と同じフロアのため、会見の準備や出席がしやすい ・記者室は会見の担当部署(政策局 秘書部 秘書課 報道担当)とも同じフロアのため、普段から市の担当者とコミュニケーションをとりやすい ・会見の幹事社を記者クラブ内で持ち回りで担当し、自らが幹事社を務める回は必ず最初に市長へ質問できる。つまり、どんなに参加人数が多くても確実に質問の機会を得られる。  さらに、筆者の想像も含まれますが、以下のような「恩恵」も受けていると思われます。 ・市長記者会見で説明される資料の内容を事前にある程度は知らされている。つまり、どんなに早くても会見開始20分前(フリーランス記者の入場が許される時間)に初めて当日の説明資料の内容を知るフリーランス記者と違って、事前に資料を読み込んで質問準備できる。 *この想像の根拠は、まだ開場直後の時間帯にもかかわらず横浜市政記者会の所属記者同士で「私、今日の資料は読み込めてないんです。だから今日は質問しないつもりです。」という会話を筆者は聞いたことがあるため。この回は30ページ以上の資料が配布された回で、筆者は会見開始までの20分間に資料を必死に読み込んでいる最中だったため非常に記憶に残っている。 ・日頃から同じフロアで担当部署とコミュニケーションをとりやすいこともあり、市長記者会見の日程を公式発表より早く知らされている可能性がある。フリーランス記者は前の週の金曜15時に横浜市がウェブサイト上で公式発表するまで会見の日時が分からずスケジュール調整に毎回 苦労している一方、事前情報をもとにスケジュール調整を有利に進めている。  記者クラブの多くの記者たちが本来の役割である権力監視を放棄し、権力者をアシストするかのような質問を繰り返し、実態とかけ離れた広報記事を書き続けるのは、こうした背景があるのです。(もちろん、記者クラブの記者にも例外はいますが)  特に横浜市政記者会および横浜ラジオ・テレビ記者会は2016年度から2020年度にかけて横浜市幹部と「意見交換」と称した宴会を頻繁に開いていたというスキャンダルをスギナミジャーナルが報じており、長年にわたる癒着の疑いが強まっています。  横浜市民でもある私の率直な感覚をお伝えすると、山中市長に関する様々な問題(強要未遂、横浜市大への不当圧力、経歴詐称)をいまだに全く知らない横浜市民は私の周りにも非常に多いです。その一因は、大手メディア(NHK、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、東京新聞、等)も地元メディア(神奈川新聞、テレビ神奈川、等)も市長の適格性に関する問題を率直に伝えないばかりか、限られた記者しか参加できない市長記者会見で易しい質問(例:就任○ヶ月の所感、来年への意気込み、コロナ禍で不安を感じる子供達や保護者へのメッセージ、など)を繰り返し、問題の矮小化に加担していることです。そして、不適格な人物が市長職にとどまり続け、横浜市民は多くの不利益(旧市庁舎叩き売りの強行、市長個人の問題による市議会の空転、等)を既に受け始めています。  こうした一連の問題の根本原因として、権力者と癒着しやすい記者クラブ制度があるのだと私は確信しています。 <文・写真/犬飼淳>
いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、theLetterで政治に関する様々な論考を発表。国会答弁を色付きで分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。地元の横浜市長記者会見などに参加し、記者クラブ制度の問題点にも言及。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版英語版仏語版)で国会答弁の視覚化などを全世界に発信。TwitterID/@jun21101016
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