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透明性を上げるはずが再び逆行!? 横浜市長に就任した山中竹春市政で記者会見参加条件厳格化が加速

山中竹春市長誕生によってフリーランスにも解放された記者会見

2021年9月30日 横浜市長記者会見冒頭

2021年9月30日 会見冒頭の写真。山中市長は旧市庁舎売却の本契約締結を突如発表して会見を開始する。(撮影:犬飼淳)

 2021年8月の横浜市長選挙で野党統一候補の山中竹春氏が見事当選し、12年振りに横浜市長が交代しました。  積極的な情報公開や透明性の担保を掲げた山中竹春市長は就任直後に早速、市長記者会見の運用を変更。林文子前市長時代は、フリーランス記者は参加できても質問できないという閉鎖的な運営でしたが、当選から8日後の就任記者会見(8月30日)からフリーランス記者も参加・質問OKとして、情報のオープン化に努めました。  しかし、山中市長に関する数々の疑惑(パワハラ、強要未遂、経歴詐称)をフリーランス記者が厳しく追及した終盤、市長は完全に回答不能状態に陥り、最後は司会者が一方的に会見を終了する混乱が生じました。  こうした経緯を経て、横浜市は 2回目(9月17日)の記者会見から参加条件を厳しくしました。具体的には、内閣府大臣記者会見と同様の参加基準を設けたのです。以下、当時の横浜市ウェブサイトに記載されていた参加条件を引用します。 ——————————-——————————-  会見への参加可否の基準については、「内閣府[報道関係者向け]大臣定例記者会見について」(令和3年9月1日時点)の参加登録対象を準用しています。    <参加登録対象>  1.(社)日本新聞協会会員社に所属する記者  2.(社)日本専門新聞協会会員社に所属する記者  3.(社)日本地方新聞協会会員社に所属する記者  4.(社)日本民間放送連盟会員社に所属する記者  5.(社)日本雑誌協会会員社に所属する記者  6.日本インターネット報道協会法人会員社に所属する記者  7.外務省が発行する外国記者登録証保持者  8.上記1~6のメディアが発行する媒体に署名記事等を提供し、十分な活動実績・実態を有する者(いわゆるフリーランス)等 ——————————-——————————- <出典:横浜市「市長定例記者会見の参加申込について」(2021年9月17日時点) >  フリーランス記者も質問OKであることには変わりありませんが、参加できるのは項番8で定義された媒体で署名記事を書いた記者に制限されたのです。これによって、市長に厳しい質問をしにくい立場にある横浜市政記者会(横浜市における記者クラブに相当する組織。朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、東京新聞、神奈川新聞、テレビ神奈川、NHKなどの横浜市政担当記者が所属)の記者の参加比率が高まり、いわゆる広報記事を書くための易しい質問(例:就任○ヶ月の所感、来年への意気込み、コロナ禍で不安を感じる子供達や保護者へのメッセージ、など)をする記者が林前市長時代と同様に再び目立つようになりました。  厳しい質問の頻度は減った一方、山中市長をめぐる問題は2021年8月の就任後も質・量ともに悪化の一途を辿っていました。参考までに数々の問題のうち主な3点を以下に列挙します。 (1)前職の横浜市立大学時代に外部業者を恫喝した疑い。証拠音声が市長選挙前の8月中旬に公開され、10月15日付で横浜地検が強要未遂の刑事告訴を受理。 (2)市長選挙前の7月に前職の横浜市立大学に対して、発出文書を自らに都合よく書き換えるように市会議員2名を伴って不当に圧力をかける。請願審査の対象となり、12月15日に山中市長本人が横浜市会 常任委員会で弁明。現職市長が加害者の立場で委員会に参加するのは中田宏氏以来、実に18年振り。市長就任前の出来事のため請願は不採択となったものの、市民が刑事告発を準備中。上記(1)に続いて、2件目の刑事告発。 (3)NIH(アメリカ国立衛生研究所)在籍時の役職は留学生扱いの「ビジティングフェロー」にもかかわらず、はるかに格上で正規職員に当たる「リサーチフェロー」と詐称。市長選挙の選挙公報には一転して「NIH 研究員」という汎用的な肩書きを記載したため公職選挙法違反には当たらないが、「NIH リサーチフェロー」と書けば公選法違反になると自覚していたことは明白で、市長としての適格性が疑われている。 (*山中市長をめぐる問題は、旧市庁舎叩き売りの強行、ワクチン接種率のフェイクニュース、カジノIR住民投票署名の不正流用疑惑などなど他にも多々ありますが、きりがないため説明は省略)

突然、記者会見の参加条件がさらに厳格化

 限られた人数のフリーランス記者たちを中心にこれらの問題は市長記者会見でも追及され続け、山中市長はまともに回答できない場面が度々見られる中で迎えた年末、寝耳に水の出来事が起こります。  これまで9月から11月にかけて3回の市長記者会見に参加し、年内最後の翌日(12月23日)の市長記者会見に向けて準備していたフリーランス記者のもとに横浜市の担当職員から電話連絡が入り、「12月21日付で会見の参加条件に一文を追加したことに伴い、あなたは今後は参加資格を失う」と伝えられたのです。  具体的には、フリーランスの基準を示した項番8の注釈に「十分な活動実績・実態とは、1~6に対応する媒体に、原則最近6ヶ月間に2つ以上の署名記事掲載がある等とする」という一文が追加されたのです。
市長定例記者会見の参加申込について

<出典:横浜市「市長定例記者会見の参加申込について」(2021年12月21日時点)>

 そのフリーランス記者が参加資格の根拠としてきたハーバー・ビジネス・オンライン(項番5の日本雑誌協会に加盟する扶桑社が運営)は2021年5月に閉鎖しており、最後の署名記事から既に半年以上が経過。最近6ヶ月の署名記事は0本とカウントされ、新しい基準を満たさないとされたのです。  急な変更のため既に参加を申し込んだ翌日(12月23日)の会見だけは参加できるとのことでしたが、年明け以降は新たな基準を満たさない限り参加できないと断言されました。さらに、12月23日の参加申込者の中で今後参加資格を失うのはその記者だけであると伝えられました。そして、この決定を行ったのは横浜市の担当部署(政策局 秘書部 秘書課 報道担当)であり、横浜市政記者会もこの決定を了承したとのことです。  ……と、ここまで書いて察しのよい方はわかったかもしれませんが、実は、この電話連絡を受けたのは筆者なのです。突如として厳格化された参加条件によって、参加資格を剥奪されたフリーランス記者というのは、他ならぬ筆者(犬飼淳)だったのです。  いったいなぜ、このようなことが起こったのか。私がそれまでに参加した市長記者会見の概要をまず振り返りたいと思います。私は2021年の9月から11月にかけて以下3回の市長記者会見に参加しました。会見は月2回の頻度で行われていますが、本業の都合もあり月1回程度のペースで参加しています。  2021年9月30日:「横浜版モリカケ」と呼ばれるほど売却価格が破格(約7700万円)である旧市庁舎売却の本契約が突如 発表された回。私は「本契約前に市民と対話を図ってほしいという署名が5000筆以上も集まっていたのに、市民との対話すらも応じないのか」「『市民に誠実』という公約と反するのではないか」等を率直に質問しました。  2021年10月13日:2回目の参加で私は衝撃的な体験をします。1時間弱にわたって私だけが山中市長から実質的に指名拒否されたのです。具体的には、私1人だけが挙手している状況でも別の記者が挙手するまで待って別の記者を指名する、2回目の質問が許される記者が複数人いるのに私だけは1度も指名されずに会見終了が宣言される、など。結局、最終的に1問だけ質問できましたが、それは指名されたからではなく終了時に大声で猛抗議して自ら質問権を獲得したからです。  2021年11月9日:前回の反省を活かして、会見室の各記者の挙手状況を映像に残す必要があると考え、私が初めて会見室に360度カメラを持ち込んで撮影した回。この暴挙の効果もあったのか、前回とは打って変わって私は2回も指名して頂き、「市長はワクチン接種率についてフェイクニュースを流しながら1ヶ月以上も訂正すらしない。いつ訂正するのか」「カジノIR住民投票署名を市長選挙で不正流用した疑惑」について率直に質問しました。  ここまで読んで、「2回目でいきなり指名拒否されたり、360度カメラで撮影までしないと指名してもらえないのは、あなたの質問内容や発言に問題があるのでは?」と感じた方がいると思います。そのように思われた方は、横浜市がウェブサイトで公式記録として公開している「市長定例記者会見 会見記録」をご覧頂ければと思います。手前味噌ですが、私の質問内容や発言に特に問題はないことをご理解頂けるはずです。なぜ自分がここまで山中市長に疎まれるのかは分かりませんが、横浜市政記者会の記者と異なり、しがらみが無い私は率直な質問を繰り返していることが一因かもしれません。
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根本に横たわる「記者クラブ制度」の弊害
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