仕事

コロナ禍で出産、勤務先が休業。収入激減した育休ママが見出した活路

がんばる気持ちが先立って産後うつ状態に……

久保 とはいえ、出産直後である。ブライダル関係とファストフード店のダブルワークは想像以上にキツかったという。 「体力的にというより、精神的にツラかったです。ちょうどファストフード店の仕事が、カウンターからフロア担当にポジションチェンジしたばかりで。毎日どうすればお客様の期待を超えるサービスが提供できるのか必死に考え続けていました。  それに加え、2人の子どもの育児があり、とにかく毎日時間に追われていました。家に帰って仕事のスイッチが切れた瞬間に頭の中がまっ白になって。子どもの声を聞いただけで泣いたり叫んだりしてしまって、それを聞いた子どもがさらに泣くという悪循環でした。家事も手を抜くことができなくて、今思えば冷凍食品とかも上手に使えば良かったのですが……」  家事と育児で手を抜くことができないのはともかく、ファストフード店の仕事はアルバイトだ。そこまで精神を削らずにもう少し気楽に取り組んでもいいような気もする。 「お客様から見たら、アルバイトでも正社員でも関係ありません。私は1人の従業員として自分ができる限りのことをしたいと常に思っています」  そんな久保さんのプロ意識が、同時に自分自身を追い詰めることにもなる。 「心に余裕がなくなり、気づけば産後うつ状態になっていて。仕事もはかどらず、家でも子どもと上手くコミュニケーションが取れなくなっていきました。私は“このままこの生活を続けるのだろうか”と思い悩んでいました」

かつての夢を思い出す「“デザイン”を見ることが好きだった」

 そんな時にInstagramで流れてきた、とある広告が目に留まった。子育て中の女性向けに特化したオンラインキャリアスクール「Famm(ファム)」だった。受講生には、無料で自宅にベビーシッターを派遣し、1ヵ月という短期間でWebデザインや動画編集のスキルを習得できるプログラムが提供されている。受講者の9割が育児休暇取得中の女性だという。 「そういえば、私は昔から“デザイン”を見ることが好きだったのを思い出したんです。幼い頃は、物件の間取りからどんな家なのか想像していたなって。  建築業界に就職したいと思っていた時期もあったぐらいなのですが、当時は大学費用がもったいないと思ったのでサービス業の専門学校に進んだので。心のどこかに追いやっていた夢を、この機会に勉強して叶えたいと思ったんです」
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1ヵ月のスクール受講でWebデザイナーに転身
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インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA

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