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コロナ禍で退職、フリーになって後悔「会社員が恵まれていることに気づいた」

 緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除された。とはいえ、長引くコロナ不況のなかで「転職」に踏み切る人も少なくないが、その後どんな日々を過ごしているのか。今回は、転職後の生活について、2人のエピソードを紹介する。

飲食業界歴約30年の料理人、フードデリバリー業界に

料理人

※写真はイメージです(以下同)

 飲食業界に約30年間携わっている堀内瑞穂さん(仮名・50代)。“手に職がある”仕事柄、勤める職場を変えることも多いというが、コロナ禍においてはいつもと様子が異なっていたと話す。 「私が料理人を目指したのは1990年代の初めで、テレビでは料理番組が多数放送されており、外食産業は盛り上がりを見せていました。実際に、私の師匠はかなりの給料をもらっていたので、休みが少なかろうと明確な目標があって、モチベーションが下がることはありませんでした」  当時は、「何処の店で」「どのポジションで」働いていたというだけで転職が可能、引き抜きなどのオファーをもらうこともあったという。 「その後、私は新たな目標として『自分の店をもちたい』との結論に至り、その目標は2012年に実現することになったんです」

もはや焼け石に水だった

 3年間でお店の基盤を作り上げた。そして従業員に経営を任せながら、自身はウェディングレストランや大手居酒屋チェーンなどに勤めることで知見を積み上げていった。だが、新型コロナウイルス感染症の流行が始まると、暗雲が立ち込める。 「最初は新種の風邪程度に捉えていたのですが、時が経つにつれて報道は激化。勤めていたお店の売上は例年の10分の1にまで落ち込みました」  会社からはアルコール消毒の徹底、営業時間の変更などの指示が連日届くように。現場は、人員調整や対策に追われる。一方、堀内さん自身のお店はというと……。 「常連客が数人来店する程度です。すぐにテイクアウトを始めて対応するも焼け石に水の状態でした」  コロナ禍が続くなか、飲食業界を去り、他業種に移る人が増えていた。当初は堀内さんも悩んでいたが、身近で歯を食いしばりながら頑張る同僚たちの姿を見て、その考えは捨てたという。
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先行きが不透明な状況から「方向性が見えてきた」
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