1ヵ月のスクール受講でWebデザイナーに転身
子どもたちに囲まれながら自宅で作業する久保さん
スクールの受講料は20万円弱。決して安い出費ではない。しかし、このままの生活を続けていても埒が明かないと考えた。「
将来子どもが大きくなった時に、時間の縛りがなく、在宅で今よりも収入が下がらない仕事をしたい」という思いから、受講を決めた。
「最初は夫にも言い出せず、諦めかけました。独学でがんばるのもありかなと思ったり……でも1か月という期間で基礎が学べること、講師や先輩がいる環境は魅力でした。夫に『一生懸命やるから』と相談したところ、『
長い目で見るならその出資は大事だね』と賛成してくれました」
デザインを始めた頃に制作した作品「子どもたちが実際に使うことを考えて、シールの大きさを把握しやすく、整頓するよりも少しだけ散らかしたデザインにしました」
久保さんはブライダル関係の仕事を退職する決意をして、有給消化中にWebデザインの勉強を開始した。とはいえ、そもそもパソコンを持っておらず、ほとんど操作したこともなかった。
「ダウンロードファイルを解凍して下さい」と言われた時には全く意味が理解できなかったという。最初はパソコンもレンタルで、出てくる単語もちんぷんかんぷん。受講中も収入をできるだけ減らさないためにファストフード店のアルバイトを続けていた。子育てもあるなかで、当初は勉強が思い通りに進まない日もあった。
「わからないことだらけでしたが、
知らない単語はすぐに調べて納得がいくまでネットや本で勉強しました。でもどうしても昼間は子どもがいるので勉強に集中できないこともあって、深夜やることも多かったですね。
夢中になりすぎて明け方近くになってしまい、夫にたしなめられたことも……」
「当時、県内旅行者が増えて欲しい思いで制作しました。“いつもの窓から見る風景を違う景色に”がテーマです」
1ヵ月の受講中、徐々に「この時間までにこの家事を終わらせて勉強する」とメリハリがつけられるようになった久保さん。無事2021年7月には講座を修了することができた。
月収1万円からのスタート、将来は専業フリーランスを目指す
「将来はフリーランスのWebデザイナー1本でやっていきたい」と語る久保さん
スクールを卒業後、約半年がたった久保さん。現在はWebデザインの仕事で稼げているのだろうか。
「クラウドソーシングサイトのクラウドワークスを利用して
月に3~4件仕事を受注しています。単価は3,000円~5,000円程度なので月1万円くらいの収入です。実際に仕事としてデザインをしてみると、自分のバナーがつまらないと感じるというか……クライアントの要望をつかみきれていないのではないかと悩む日々です。12月は改めてもう少し勉強したいと思い、インプットの期間にしていました。まだまだ『楽しい』と『悔しい』を比べると、『悔しい』の方が勝っていますね」
向上心が強く、日常生活のあらゆる場面においてデザインに対する見方が変化した。それは、幼い頃の自分を思い出したかのようである。
「たとえば、スマホでいろんなサイトを眺めていると、私が勉強した法則を応用しているバナーなどが出てくる。そこで、このデザインにはどんな狙いや意味があるのか考える。腑に落ちた時には楽しくなります。早く自分でも作れるようになりたいなって」
最近制作したちらしのデザイン。短期間で上達したことがうかがえる。「もともと告知されていた募集なので、さらに情報を強調するために、あえてコントラストを大胆にしました」
希望に胸を膨らませる久保さん。今後の目標は……?
「今は夫の扶養内で働いており、ファストフード店のアルバイトも続けていますが、まずは月収15万円以上を目指したい。2022年はフリーランスのWebデザイナー1本でいけるように頑張りたいですね」
最後に「その夢は実現できそうですか?」と聞いたところ「絶対に実現します」と即答。「何がどうなってもWebデザイナーとしてやっていく」という強い意志のもと、久保さんは今、プロの世界の入り口に立っている。
<取材・文/松本果歩、編集/藤井厚年>
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):
@KA_HO_MA