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40歳妻を誘惑する、22歳男子の目的は?『シジュウカラ』山口紗弥加の演技が光る

 1月ドラマ、山口紗弥加と板垣李光人の“年の差ラブストーリー”『シジュウカラ』(テレビ東京系)がスタートしました。1月14日に第2話が放送された話題の作品を、夫婦関係・不倫について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます(以下、亀山さんの寄稿)。 【女子SPA!より転載。リンクなど元記事に移動します】⇒女子SPA!トップへ

恋愛ものなのに、ホラーまがいの恐怖も呼ぶ不思議なドラマ

 18歳年下の美しい男と恋に落ちる40歳女性のドラマかと思いきや、1月7日深夜に始まった『シジュウカラ』(テレビ東京系)は、もう少し深い意味合いがありそうだ。原作は坂井恵理『シジュウカラ』(双葉社/ジュールコミックス)だが、今も連載が続く長編なので、ドラマはドラマとして見たほうがいいのかもしれない。  恋愛ドラマなのかホラーなのか、第1話はなんともいえない展開だった。アシスタント歴20年を越えていまだ売れない漫画家・綿貫忍(山口紗弥加)が、そんな生活に見切りをつけ、一回り年上の夫と中学1年生の息子とともに地元に戻り、空き家となっていた夫の実家で暮らし始めたところからドラマが始まる。  心の中では筆を置いたつもりだったが、ある日、かつての編集者から連絡があり、昔描いた不倫物のコミックが電子書籍でバカ売れしているという。まずはもう一作、描いてみてほしいと、題材に「妻の不倫」を提案された。
『シジュウカラ』

(画像:Amazonより)

 もう一度、描きたい。彼女の中で夢がふくらむ。そしてまずはアシスタントを募集すると、すぐ近くに住む橘千秋(板垣李光人)という美青年が現れる。彼は、アシスタントして即戦力となってくれ、さらには忙しくなった忍の代わりに家族の夕食の支度までしてくれるのだ。  それにしても音楽や撮影などが、ときとしてホラーまがいの恐怖を呼ぶ不思議なドラマだ。これが今後、どういう効果をもたらしていくのかに興味を惹かれる。

自分をごまかす“いい妻”。山口紗弥加の確かな演技が光る

 芸歴25年を越えた女優・山口紗弥加の確かな演技が光る。少しわざとらしいくらい明るく振る舞う、気さくでいい妻、いいおかあさん。こうやって日々、女性たちは少しだけ自分をごまかし、少しだけ自分を鼓舞しながら日常生活を滞りなく送るための努力を惜しまないのだろう。そしてそれが習性となっていくのだ。  千秋が作った料理を家族とともに食べながら、夫は「きみも大変だね、こんなオバさんに使われて」と妻のことを言う。忍は眉ひとつ動かさない。そんな夫のモラハラまがいの言葉にはすでに動じないように自分をコントロールする術を知っているからだろう。そこで千秋がきっぱり言うのだ。 「ご主人にとってどうかは知りませんが、僕にとっては尊敬する“先生”です」  その場の雰囲気が凍りつく。間があって、忍は「だってさー」と明るくとりなすのだ。これもまた、どこか悲しい団らんである。
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雨の中、顔を近づけて……挑発を繰り返す年下男子
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