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久々の帰省で親の“老い”を実感。車の運転は「まるでカーチェイス」

母の運転はまるでカーチェイス

バンパー 10年ほど前に父親が死去してからは、田中さんの母親はひとり暮らしだ。 「近所に兄が住んでいるので、なにかあったとしても大丈夫かと思っていたのです。でも母が自分で車を運転して買い物に出かけていると知って、最近は高齢者の交通事故も多いので不安になってきたんです」  田中さんは、新幹線の降車駅から地元の駅まで電車で向かうと、母が車で迎えに来てくれていた。しかし、その車を見て驚いた。 「最寄り駅からは車で15分くらい。歩けない距離ではないですが、『毎日運転しているから大丈夫』というので母を待っていました。母の車が駅のロータリーに着くと、車のリアバンパー部分が凹んでいたんです」  嫌な予感がしたという田中さん。母親に確認すると、バックした時にゴミ箱にぶつけたそうだが……。 「以前から、母の運転は上手くはなかったのですが、久しぶりに乗ったせいかヒヤヒヤしました。僕は助手席でしたが、アクセルはふかす、信号が変わると急発進する、赤信号に間に合わせようとブレーキを急に踏み込む。軽自動車なので、橋の上など路面にでこぼこがあるような道では、トントントンと車が振動するほどなのですが、まるでカーチェイスのような荒い運転」

信号が見えていない

 近所の回転寿司店まで夕飯を食べに行く時は、さらに緊張したという。 「夜道では、僕が『もうすぐ赤だよ』とアシストしないと信号も見えていない様子で焦りました。信号が変わる瞬間に渡ったりするので『バカ、危ない』と言うと、本人も『見えていないのよ』と開き直るんです。本当は飲酒したかったのですが、母の運転が怖いので、ソフトドリンクで我慢して帰りは僕が運転して帰りました」
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「免許を返納しろ」とは言えないもどかしさ
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出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。X(旧Twitter):@rizeneration

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