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「夏は牝馬、冬は牡馬」は本当か? 競馬の格言をデータから検証してみた

データの偏りを解説

 では、どうしてこのような偏りが発生するのか。ここまでならデータを見れば誰でもわかることなので、ただの傾向でしかありません。数字に意味を持たせるには、この傾向の原因を説明する必要があります。私は原因を説明できて初めて使えるデータになると考えていますので、こちらについてもしっかりと考えがあります。  今回の原因については、競走馬のメカニズムが関係していると考えられます。まず、夏場に起こる症状として「夏負け」と呼ばれるものがあります。人間で言うところの夏バテと似た症状ですが、睾丸が腫れるといった症状もあるように牡馬に多い傾向にあります。  一方、冬場になると換毛期となり「冬毛」と呼ばれる長い毛が伸びる現象が起こります。冬毛が生えるという事は新陳代謝が低下しているのでマイナスとされるのですが、ホルモンの関係で牝馬の方がより冬毛が生えやすい傾向にあるのです。こうした理由から、牝馬は暑さに強く寒さに弱い、逆に牡馬は暑さに弱く寒さに強いという傾向があるのです。

冬場の牝馬戦は波乱含みか

 そのため、夏場だと本来は筋力で劣る牝馬が体調面で牡馬相手でも有利に戦えるというわけです。一方で、先週の日経新春杯では牝馬ながら4番人気に支持されたクラヴェルが8着に敗れ、牝馬限定戦の愛知杯は1番人気のアンドヴァラナウトが11着に敗れるなど大波乱。これも、牝馬はこの時期に体調が落ちていることが多いということを頭に入れておけば対応できたかもしれませんね。体調が落ちているからこそ牡馬との差は大きくなり、牝馬同士では体調が落ちている馬達たちの争いとなり波乱になりやすいというわけです。  今回の格言は現在でもその通りに使えるものでした。あと、筆者がただただ寒さに弱いというだけでした(笑)。今の時期に牝馬を買うのはリスクが高いという事を肝に銘じておきましょう。 文/安井涼太
各種メディアで活躍中の競馬予想家。新刊『安井式上がりXハロン攻略法(秀和システム)』が11月15日に発売された。『競走馬の適性を5つに分けて激走を見抜く! 脚質ギアファイブ(ガイドワークス)』『超穴馬の激走を見抜く! 追走力必勝法(秀和システム)』、『安井式ラップキャラ(ベストセラーズ)』など多数の書籍を執筆。
Twitter:@RyotaYasui

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(秀和システム)

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