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サウナ×瞑想で究極のととのい。涅槃の果てまで飛ばされた「寺フェス×寺サウナ」体験ルポ

「文殊菩薩による励まし」をいただく瞑想タイム

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ととのったあと、本堂の静謐な空間で瞑想タイム。住職がかけてくださる言葉のひとつひとつが胸に沁みていく

 セルフロウリュができる熱々のテントサウナからの極寒シングル水風呂。体が求めるままこれを繰り返し、境内でのゼロ・グラビティチェアによる外気浴。そして、五右衛門風呂――とてつもなく贅沢な時間を過ごしていたら、あっという間に90分が過ぎた。ここからは、いよいよ瞑想だ。  住職から簡単な説法があったのち、まずは座禅の組み方を学ぶ。右足を左の腿の上に、左足を右の腿の上に乗せて両足を組むのが正式な形らしいが、足がつりそうになったのですぐさま断念した。  しばらくすると、住職が警策をそっと背中に当てて姿勢を正され、肩をピシャっと叩かれる。警策で叩くのは罰ではなく、「文殊菩薩による励まし」という意味があるらしい。  目を閉じ、呼吸に集中する。こんなにも心静かになったのはいつぶりだろうか。住職は言う。 「自分ただひとりと向き合う時間。こんなに贅沢な時間はありません」  外に出ると、すっかり日は暮れていた。「竹あかり」という新しい日本の工芸アートでライトアップされた境内が、幻想的で美しい。  サウナ、瞑想体験のあとは、全国から集結したというよりすぐりのサ飯をいただく。周りを見ると、皆が穏やかな笑みを浮かべ、思い思いに語らっている。暗くなっても子どもたちは元気に境内を駆け回り、ときおり嬌声が上がる。

2日間で5000人が集まった

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会場をライトアップした「竹あかり」が幻想的なムードを醸し出す。完全に見惚れてしまった

 イベントの物珍しさから足を運んでみた記者だったが、正直、その魅力にすっかり参ってしまった。サウナや水風呂が気持ちよいのはもちろん、満たされた気持ちに包まれたのだ。  この「寺フェス」自体、サウナ好きの間で開催前から話題になっており、チケットは完売という人気ぶり。運営の高瀬加奈さんはこう語る。 「お寺の境内でテントサウナや水風呂、外気浴を楽しみ、そのあとで瞑想に耽る。すると“ととのいの相乗効果”が生まれ、とてつもないリラックス効果が得られます。今回の寺フェス開催を通じて寺サウナを多くのお客様に知っていただけたのは、大きな収穫でした。  宗三寺の住職直々の“サウナ説法”も好評で、お寺というサウナの聖地への没入感に浸りやすいプログラムを組めたと思います。何より、寺フェスとしてサウナだけでなく屋台や縁日を催すことでサウナに入らないお客さんもたくさん足を運んでくださり、結果、2日で5000人近い人が集まりました。寺サウナの立ち上げ当初から、『コミュニティとしてのお寺の復活』を目指していたので、人がたくさん集まって楽しそうに過ごしている姿を見るのは何より嬉しかったです。ありがたいことに、『ウチでもやれませんか?』と他のお寺からもオファーをいただけて。励みになりますね」  そんな寺フェスだが、次回は3月を予定。早くも準備に取り掛かっているという。 「3月12日、13日に川崎の宗三寺で予定しています。チケットが完売してしまったので、次回はテントサウナを増設して臨む予定。詳細はこれから詰めていきますが、寺サウナのSNSや寺フェスの公式LINEを通じて逐一発表していきますので、ぜひチェックしてください。究極のととのいを感じていただけると思います」  忙しい都会の毎日に、ひとときの週末オアシス。至高のマインドフルネスを、ぜひ皆さんも体験してみてほしい。 取材・文/桜井カズキ 撮影/ヤナガワゴーッ! 取材協力/寺フェス実行委員会
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