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闇営業バブルよ、再び…? 時短営業無視した飲食店と受け入れた飲食店の明暗

時短営業を受け入れた店の言い分

 また、別の飲食店の店主にも話を聞いた。この男性は昨年の夏、緊急事態宣言の最中、要請を無視して居酒屋の営業を続けたのだが、今年は要請を受け入れて時短営業に切り替えたという。 「去年の夏はそりゃ儲かりましたよ。でも、それ以上に風当たりが強かった。商店街の人たちだけじゃなく、近所の人からも白い目で見られました。ネットでは『感染対策もせずに夜中まで酒を出す店で信じられない』なんてことも書き込まれました。  緊急事態宣言が明けてからの方が売上げも落ちて、しばらくの間はかなりキツかったですね。年末にようやく盛り返してきたんですが、一度失った信用みたいなものってなかなか取り戻せないんだなって」  男性によれば、売上げが減ったことよりも「常連さんが半分近く減ったことのほうが堪えた」という。加えて男性が時短営業を受け入れた背景には、オミクロンに感染した知人の存在が大きかったという。 「私の知人は、濃厚接触者とされたのでPCR検査を受けたのですがまったくの無症状で陽性反応。小学生の息子さんも感染したのですがこちらは37度台後半の熱が1日出て終わり。それでもその家族は全員が隔離生活をすることになった。症状がないってことは店に入るときに検温したりしてもわかんないワケじゃないですか。  感染して店を閉めざるをえなくなることも、もちろん痛いのですが、私らのようにいろんな人に会うのが商売の者にとって、自分が感染源になっているかも……というのは本当に怖いこと。もし、クラスターなんて起こしたら……なんて思うと、さすがに今回は夜中まで酒を出すのはちょっとなぁって」

店の営業方針を方向転換

 時短営業を受け入れたと同時に、この男性は店の営業方針も変えたという。その結果、思わぬことが起きたという。 「これまでは私自身『飲み屋は大人の場所』という意識が強かったんですが、ファミリー歓迎を打ち出して子供向けのメニューやデザートも無料で出すようにして、家族で予約してくれたパパ、ママにはハッピードリンクで最初の1杯は生ビール、サワー、ワインは100円で用意しました。  これが評判で17〜18時台はファミリーのお客さんが増えたんです。平日もリモートワークされてる方が『ずっと家の中で疲れたから』なんて言って、お子さんを連れていらっしゃる方もいますね」  昨年失った常連は戻ってこないかもしれないが、新たな常連の獲得に向けて奮闘中だという。 取材・文/日刊SPA!取材班
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