創作あーちすと・のんがコロナ禍で実感したこと「『表現すること』ができないとダメ」
俳優としてだけでなく、音楽やアートなど多岐にわたり独自の創作活動を続ける、創作あーちすと・のん。2月25日からテアトル新宿ほかで公開される初の劇場長編監督作『Ribbon』では脚本・主演も務め、コロナ禍で卒業制作展を断念せざるを得なくなった美大生の心の再生を描いている。
――まずは今回の作品に込めた思いを聞かせてください。
新型コロナによってみんな本当にすごく大きな被害を受けて、現場で駆け回っている医療従事者の方とか飲食店の方とか、そういうニュースが毎日流れてきて、感染者数とかも毎日変動してて。それらを目の当たりにするなかで「感情を出しちゃいけない」って我慢していた人がいっぱいいたんじゃないかなって思うんですね。
私もずっとお家で、お布団の上で過ごしていたのですが(笑)、「こうしちゃいられないな」って思って脚本を書き始めました。美大生を主人公にしようと思ったとき、美大生がコロナ禍でどうしているんだろうって調べたら、卒業制作展が中止になって「1年かけてつくった自分の作品がゴミのように思えてしまった」っていうインタビューがあって。それを読んですごく衝撃を受けたんです。
――そのような経緯があったんですね。
今回、ロケーションやエキストラで多摩美術大学の方たちにご協力いただいたんですけど、先生に聞いた話ですが、デザイン科の子たちは、卒業制作展で車や建築の設計を模型にして展示する予定だったそうなんです。大きな模型なので展示会場の人たちと打ち合わせもして、いよいよ明日、となったときに中止になってしまったそうなんです。
――それは辛いと思います。
自宅に持って帰れないモノなので、もともと展示が終わったら壊す予定だったんですけど、誰にも見られずに自分たちの手で壊さないといけなくなっちゃったみたいで、その学生たちは悔しくて泣きながら壊したという話を聞いて、相当悔しいなと思いました。会場の清掃員の方が先生に「どうにかしてもらえないんですか」って言いに来たくらい痛ましい光景だったそうです。
どうにかやり過ごせた子もいたかもしれないけど、私も自分主催のフェスを中止にする決断をしましたし、そのときの気持ちが全然解消されてないなっていう気がしてて。その悔しい気持ちを代わりに爆発させている、そんな作品になったらいいなって思ってます。
感情を出せない辛い気持ちを代わりに爆発させた作品になれば
衝撃を受けた「痛ましい光景」
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