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もしかして私ってストーカー? 粘着LINEを送り続けた女性に対する弁護士の答え

弁護士の元に来る頃には派手に関係がこじれている

 2000年にストーカー規制法が施行され、昨年8月には3度目の法改正も行われた。齋藤健博弁護士のところには、どういった相談がくるのだろうか。 「切り口として『ストーカーに悩まされてます』という相談はあまりありません。自分はストーカーと言われているが本当にそうなのかわからない、復縁をしつこくせまられており第三者が見るとストーカーになっているというケースがあります。」  そうなると、警察への被害届とセットで相談に訪れる人が多そうなのだが……。 「弁護士のところに来る頃には、すでに派手にやり合っているというか。実は婚約の約束をしていたとか、支払うはずのお金を急に払わないと主張したなど、一定の親密な人間関係があった状態で何かを一度合意して、それがこじれた段階で相談にいらっしゃいます。ほぼ人間関係が親密だったケースです。不倫は多いです」  不倫……いかにもな理由である。

いきなりストーカーになるケースはレアケース

 ドラマや漫画でありがちなのが、たまたま見かけて好きになったのがエスカレートして…という設定だが、実際にはこんなこともあるのだろうか。 「かなりレアケースです。新入社員を気に入った上司が、お酒が飲めないにもかかわらず取引先の飲み会に毎回ついて行って、2次会に参加したい新人を無理に家に送って、車の中で説教するというケースはありました。  先述したように、ストーカー化する原因は人間関係のこじれです。交際関係にあった相手を派手に切ったり、急に弁護士を入れて関係解消を申し入れたり。実際にあった話だと、婚姻の約束をしていて無理に解消された側が、被害者の職場と自宅に鬼のように電話したことがありました。  被害者は職場をクビ。この場合、何を重視するかで対応が変わってきて、退職処分を争いたいのであれば職場相手になるし、電話をやめてほしいというのであれば慰謝料を払うなどになります。弁護士を通じて連絡することもありますが、こういうことをやる人は弁護士からの通知をまず聞き入れません」

ストーカー問題の怖いところ

 女性のやるせなさを考えるとなんとも言い難い。ここまでスイッチが入っていると弁護士の話を聞かなそうだが、その場合、どう対処するのだろうか。 「裁判を起こしたり、逆に慰謝料を請求したりします。双方が弁護士をつけると、だいたいお金で解決です。その後は接触しない、口外しないと約束させるのが9割です」  そうは言っても、度を超えた執着心を持っているのだから、何かのきっかけで接近禁止令を破ってしまう場合もありそうな…。 「そうしたら罰金しかありません。法律の限界かもしれませんね」  ストーカー化する原因は人間関係のもつれだが、最後は金銭で解決するしかない。例えば、相手男性に一方的に婚約破棄された女性がストーカーになったとして、男性が婚約破棄について慰謝料の支払いを申し入れてきたら女性側はすんなり引くのだろうか。 「すでに交際相手がいれば、まず受け入れるでしょう。交際解消なら100万円取れればいいほうです」  被害を受けていると感じた時、私たちにまずできることは意思表示。「やめて」の一言の大切さを感じる。 「もちろんした方がいいですが、それが適切かどうかは別問題です。怖いのは、実は不倫していて一方的に解消した事実が縮小されて、しつこくアプローチしている部分だけが切り出されてしまうところ。  地位の高いほうが圧倒的に不利になります。個人の見解ですが、ストーカー行為だけを切り出してストーカーと叫んでいる人はそこまで重視すべきでないですね。もっと本質的なことがあります。都合よくストーカーを持ち出す人は多いですし、逆に、女性からならストーカーになりにくい面もあります」
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加害者になりやすい人と対処法
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