更新日:2022年03月20日 13:38
エンタメ

市川海老蔵が怒る“誹謗中傷”とは何なのか。歌舞伎ファンの間で広がる波紋

襲名公演をしていないのに「團十郎」?

次に襲名前の名前で呼ばれることを容認した件について。歌舞伎役者には襲名という独特な制度があるのだが、襲名公演をしていない以上、その名は名乗れない。したがって呼ばれることもないわけだ。 しかし一部のファンが海老蔵を團十郎と呼んでいることに対し、本人は注意も否定もしない。確かに襲名公演は予定はされていたのだがコロナ禍で中止になり、今のところ目処も立っていない。 さらに、襲名制度というのはある意味残酷なもので、真にその名で呼ばれる人になるためには、以前その名を名乗っていた人を超えなくてはいけないと筆者は考える。 市川團十郎といえば、歌舞伎界の数々の名跡の中で大きな権威があるといっても過言ではない存在。今の世の中で、團十郎といえば2013年に亡くなった12代目(海老蔵の父)だろう。襲名とは、先代から受け継いだ芸に磨きをかけ、先代を超えていくためのシステムなのかもしれない。

12代目團十郎を超えなくてはいけない

したがって、これから海老蔵が市川團十郎を名乗るのであれば、先代である父・12代目の團十郎を超えなくてはいけないのだ。そのためには、片岡仁左衛門、松本白鴎、尾上菊五郎などの諸先輩方から芸を学んでほしい。 同じく父親を亡くしている中村勘九郎・七之助の兄弟は、それぞれ先輩役者との共演も多く行っている。それと比べると、海老蔵の先輩との共演は極端に少ない。そもそも歌舞伎座公演への出演自体、昨年7月が2年ぶり、そして次は今年の5月という始末である。 新作歌舞伎に精を出すのも良いが、もっと十八番以外の古典も先輩方と共に学んでほしいと思うのは、歌舞伎ファンとして当然の心理だとは言えないか。そしてそれを口に出すのは誹謗中傷だろうか?
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高校時代からミュージカル、大学時代から歌舞伎にハマった20代。本と歌舞伎と和菓子が大好き。生業はコンサルと家庭教師、たまにライター。
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