市川海老蔵が怒る“誹謗中傷”とは何なのか。歌舞伎ファンの間で広がる波紋
市川海老蔵といえば、様々な話題でワイドショーをにぎわせる“お騒がせ”な人物だが、ここ最近その「迷走ぶり」に拍車がかかっている。
3月はじめ、歌舞伎ファンの間に激震が走った。発端は海老蔵が“誹謗中傷”と徹底的に戦う旨をツイートしたことだ。
「誹謗中傷ではなく、民法で話を進めます。私は本当はしたくないのですが、そういう方がいる限り仕方ない。十五年間我慢して来ました。よろしくお願いします」
「多くのファンの方の素直な気持ちを大切にしたい! そして私の精神の安定のために 環境を整えるとご理解ください」
歌舞伎に詳しくない面々には、「一体これのどこが問題なのか」と思う人も少なくないであろう。順を追って解説する。
まずは出待ちの容認について。コロナ禍において、舞台演劇は大きな打撃を受けた。歌舞伎にとってもそれは同じことである。そのため、現在は歌舞伎座や新橋演舞場を運営する松竹のかかわる舞台において出待ちは禁止されている。
それにもかかわらず、海老蔵はブログに「出待ちもありがとうございます」(1月7日)「今日も寒い中ありがとうございます!」(1月8日)などのように出待ちの観客に感謝する文言を写真と共にアップしている。これには多くの歌舞伎ファンが憤った。
毎月歌舞伎を上演している歌舞伎座では、現在でも2席ごとに1席を空ける、幕間の食事の禁止、上演の合間には全館を消毒するなど、徹底的な感染症対策を行っている。客席やロビーで大きな声で会話をしていれば係の方が注意を促すため、大概の劇場よりも静かだ。もちろん、マスクを外している観客は見たことが無い。
筆者は7年ほど毎月歌舞伎座に通っているが、コロナ禍という未曾有の事態から歌舞伎を守ろうと役者も、舞台を影から支える方々も、劇場スタッフも、そして観客も、頑張っているのを見て来た。
それを歌舞伎役者が、座頭を務める役者が、しかも大名跡團十郎を継ぐ、つまりは歌舞伎界の“顔”になる人が推奨するかのような発言を公にしたのだ。あまつさえそのことを指摘する人に対して「誹謗中傷」と言い放ったのである。
これは誹謗中傷だろうか?歌舞伎という文化をこのコロナ禍でも守りたいと望むファンの「出待ちを推奨するのはやめてほしい」という思いは誹謗中傷なのだろうか。
歌舞伎ファン激震。誹謗中傷の線引きに…
誹謗中傷ではなく、
— 海老蔵 (@EBIZO_DES) March 4, 2022
民法で話を進めます。
私は本当はしたくないのですが、
そういう方がいる限り仕方ない。
十五年間我慢して来ました。
よろしくお願いします。
当然の話だが、“誹謗中傷”と徹底的に戦うことに反論の余地はない。批判の対象になっているのは、何をもって“誹謗中傷”とするのか、その解釈である。 先述のツイートの後、海老蔵はあるツイートを引用リツイート。 1月に新橋演舞場で上演された「プペル」で出待ちを容認したこと、予定ではあったとはいえまだ襲名していない「市川團十郎白猿」とファンに呼ばれるのを容認していることを指摘するツイートに対して「言動で人を傷つけたらそれで充分に誹謗中傷です。」(原文ママ)と述べたのである。多くのファンの方の素直な気持ちを大切にしたい!
— 海老蔵 (@EBIZO_DES) March 4, 2022
そして私の精神の安定のために 環境を整えるとご理解ください。
「禁止」の出待ちを容認
高校時代からミュージカル、大学時代から歌舞伎にハマった20代。本と歌舞伎と和菓子が大好き。生業はコンサルと家庭教師、たまにライター。
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