更新日:2022年09月02日 12:25
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難病の父に笑顔が。移転する名古屋競馬場でおきた奇跡

パーキンソン病だった父が土古で元気を取り戻す

 父にとって、いかに名古屋競馬がいい思い出だったかを示すエピソードがあります。  父は、晩年、パーキンソン病を患い、だんだんと体の自由が利かなくなっていました。数少ない趣味の一つであった絵画も、手先の震えで断念しなければならなくなったほどです。絵画に代わり、何か楽しめるものはないかと思案し、父を名古屋競馬へと連れ出しました。  場内に入り、聞き慣れた本馬場入場行進曲を耳にすると、あら不思議。途端に失われていた顔の表情が戻ってきたのです。そして、震えることなくマークシートを記入し、躓くことなく窓口へと向かっていきました。  この一件、わが家では「土古の奇跡」として語り継がれています。

思い出の土古へ出発

 東京駅で7時台の新幹線に飛び乗ると、名古屋駅からあおなみ線に揺られること12分。最寄駅の名古屋競馬場前に到着です。「明日からここも港北駅なんだな」と感傷に浸りつつ、競馬場の正門へと向かいます。あおなみ線の車内、競馬場への道中、そして場内と、そこかしこから「今日で最後だがや」という会話が耳に飛びこんできます。
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名古屋競馬場名物グルメ。手前に乗っているのが味噌串カツ、奥に乗っているのがどて煮

 今回の名古屋競馬ツアー決行にあたり、心に決めていたことがありました。それは「最終日の全レース、枠連7-7、7-8、8-8を買う」。父が愛した名古屋競馬の外枠作戦、これは旧コースで行わないと意味がありません。そして何より7-7、7-8、8-8の馬券を手にしていることで、父と一緒に観戦しているような気分を味わえると思ったからです。
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外枠作戦決行!(フルゲート未満のレースは2点買い、または馬連1点)

 1レース開始前に、枠連7-7、7-8、8-8を全レース仕込み終えるベンチに腰を下ろすと、聞き覚えのある締切音楽(『軽騎兵』という曲だそうです)のテンポが上がり、ブザーが鳴り響きました。いよいよ第1レースの発走です。  果たして、最終日も名古屋競馬は私たち親子に優しいのか。歴史的な配当も飛び出したこの日、外枠作戦は火を噴いたのか? その辺りの話は、次回、詳しく書きたいと思います。 文/松山崇
馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
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