更新日:2022年03月28日 12:55
仕事

ドンキのPOPを作る専属の職人がいた「研修でドンキ文字を1か月描き続けました」

他店舗に行ったときに起こる職業病

ドンキPOP写真7

値段の場所や表示には細かいルールがあり、それに則って書いているとのこと。このルールさえ守れば、あとはPOPライターのオリジナリティで店の色が決まる

 POPライターのオリジナリティこそ、その店舗のオリジナリティとなり、そしてテーマパークのようなドン・キホーテの色を作り上げている。このカラフルな色を演出するために、POPライターの馬場さんは日々研究しているそうだ。 「他の店舗に行くと、どうしてもPOPにばっかり目が行っちゃうんですよね。このPOPはどうやって作っているのだろうと、勝手に裏に回って見てしまうこともあります。もし店員さんに注意されたとしたら、慌てて名刺出そうと思っていますけど……笑。単に紙に描くだけでなく、何枚も重ねて立体的な文字を作ってみたり、キャラクターが喋っているようにみせたりと、他店舗のPOPをみることで勉強になるんです。とにかく、どうやったらより良いPOPができるのかということを日々研究しています」  こういった各店舗のPOPライターたちが鎬を削ってデザインを競い合う「選手権」も定期的に開催されているようだ。 「選手権は1ヶ月で何回も開催されていますね(笑)。アパレルや食品など、部門毎に分かれていて、毎回必ず参加しています。私もだいぶ昔にちょこっとだけ賞を獲ったことはありますけど、昔すぎて……笑。入賞した作品は参考にさせてもらいますね。こうやって選手権があることで、モチベーションになったり参考になったりするので、日々研究意欲を持ち続けていられるんだと思います」

“完璧じゃないPOP”だからこそ見てほしい

ドンキPOP写真8

「完璧じゃないからこその魅力がある」とPOPライターのお2人は語った

 最後にドンキPOPの魅力について話を伺うと、長年POPライターとして活動する馬場さんは、“手作りだからこその魅力”を力説した。 「こういった、手作業だからこそ作られる“完璧じゃないPOP”が、ドンキPOPの魅力だと思います。世の中のPOPはパソコンで作ったものがほとんどですが、パソコンで作ったものよりも不確かで不安定だからこそ見てしまう、POPの向こう側にいる人を感じられることが、ドン・キホーテの魅力に繋がるのかなと。  POPは商品があって、その仕入れ担当者がいて、その情熱や気持ちを私たちPOPライターが形にしています。担当者の方々も個性が溢れている方が多く、売り場ごとに各担当者さんの色が出ているので、お時間がありましたらテーマパークと同じ感覚でPOPの隅々まで楽しんでみていただきたいです」  普段何気なく見ているドンキのPOPにスポットを当てると、とてつもなく深く、エンターテイメントに溢れた世界がそこにはあった。安くて便利というだけではなく、今後はドンキの楽しさに注目して買い物してみてはいかがだろうか。 取材・文/セールス森田
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
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