だが、B美さんの被害に遭っているのは咲希さんだけではなかった。 「もう『B美には何も話さない』と決めたんですが、よくよく思い返してみたら、私も他の子の話も結構聞いてたんですよ。『誰とは言えないけど、すっごいホストハマっててやばい友達がいるんだぁ』とか『旦那に浮気されて離婚寸前らしいよ〜』『キャッシングしすぎて破産寸前の子がさぁ』などと、他人には知られたくないであろう話を沢山聞かされていました」 　B美さんがこうやって他人の話をするときはお決まりのパターンがあるという。 　相手の名前を出さず、特徴しか言わないという。そして「それって○ちゃんだよね？」と聞くと「想像にお任せします」と返す。 「それがB美のタチの悪いところ。誰の話か聞きたくさせるだけさせて、名前は出さない。でも、盛大にヒントを出すので、知り合いの話であれば、だいたい誰のことかわかってしまうんです。『それ私に言っていい話なの？』と聞くと『誰とは言ってないから』と微笑むだけ。B美は、あくまで“名前ははっきり言ってないから私はバラしてない” というスタンスなんです」 　咲希さん含め、なぜ周りの人はB美さんに色々話してしまったんだろうか？ 「B美は一見いい人なんです。見た目も地味で口が硬そうだし、悪そうなことはしなそうな感じというか。それに何の話でも絶対に自分のことを落として話すんです。だから、みんな心を許しちゃっていたのかも……」 　だが、B美さんがあちらこちらで暴露を続けた結果、数人と疎遠になってしまったという。なかにはB美さんに復讐を考えている人もいたそうだが、誰ひとりとして彼女自身のバラされたくない秘密のような情報は持っていなかった。 「彼氏や自宅、仕事も知ってるけど、本当に上辺のことしか聞かされていない。やり返したいのに彼女のマイナスになる情報が何にもないんです。これも作戦なのかもしれません」