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任天堂が抱える「3つの懸念」。Switchの販売台数も頭打ちに

ハードの落ち込みが目立った任天堂決算

 5月10日に任天堂の2022年3月期決算が発表されました。売上高は1兆6953億円(前期比3.6%減)、純利益は4776億円(前期比0.6%減)と高水準ながら、Nintendo Switchの販売台数は2306万台(前期比20%減)と大きく落ち込みました。もちろん半導体不足の影響もありますが、今年度の販売予測も2100万台と8.9%減を見込んでいます。  Nintendo Switchがハードとして下降線を描き始めたなか、任天堂の足元が揺らぐようなゲームを取り巻く環境変化もチラホラ。今回は、任天堂を今後悩ませるであろう“3つの懸念”をチェックしていきましょう。

(1)メタバースを核としたPCとの戦い

あつまれ どうぶつの森

一種のメタバースと見なされることもある『あつまれ どうぶつの森』(2020年3月発売)公式サイト

 今、世界のIT企業はメタバースの構築に注力しています。メタバースとは、コミュニケーションやビジネスが行えるネット上の仮想空間。ゲーム、音楽、ショッピング、ファッション、スポーツ観戦など、さまざまな娯楽がメタバースをプラットフォームに行えるようになると予測されています。  従来はゲームハードがまさにゲームのプラットフォームでしたが、この任天堂の優位性が失われる可能性があります。今年2月3日に行われた第3四半期の質疑応答で、メタバースについて質問を受けた古川俊太郎社長は「多くの方に『任天堂なりのアプローチ』として分かりやすくお伝えできる方法が見つかれば、何か検討できるかもしれませんが、現時点ではそのような状況ではないと考えています」と回答し、メタバースにはあまり積極的ではない姿勢が伺えました。 『マリオ』や『ポケモン』、『どうぶつの森』を中核としたメタバースを構築できれば、十分に世界をリードできると思うのですが……。いずれにせよ、メタバースを背景に、より一層PCが家庭用ゲーム機を脅かす存在となるのは確かでしょう。
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サブスクに新ハード、任天堂の舵取りは?
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ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も

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