タヌキ社長が運営する会社はとても理想的!?
タヌキ社長の人柄で、社内の雰囲気は上々!
――非常にせちがらい世の中、タヌキ社長の会社って、ある意味理想ですよね。あれが“出ていること”も、あそこまでやりきると大らかでいいなと(笑)
町:本当いい会社ですよね。働いている人もいいし、雰囲気も明るいし。やはりそれは、タヌキ社長の人柄というか…めっちゃいい人じゃないですか。
河崎:モト冬樹さん、吉田照美さんも出てくれたんですが、貫禄があって、映画が締まりますよね。もう『ヅラ刑事』にも出ているし、慣れてますし、ちょろいもんですよ。出演時間が限られていても見事な存在感を発揮してくれました。
――なんならモト冬樹さんが社長役でもいいかなと思いましたが、今回はタヌキということで(笑)。漫画家の森野達弥さんがデザインしたキャラクターがとにかく愛おしくて癒されましたが、河崎監督がここまで着ぐるみに惹かれる理由はなんですか?
河崎:やはり異形の魅力ですよね。タヌキ社長のように異形のものが現実社会に存在し、日常の空間に入り込んでくると、いろんなドラマが生まれてくる。まあ、寅さんもそうですし、ドラえもんもオバケのQ太郎もみんなそう。最初は違和感があっても、最後は心を合わせてなんとかうまくやっていく…そういうところが好きなんだと思いますね。
『タヌキ社長』 2022年5月20日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ 他 全国ロードショー!
――それにしても、バカ映画を還暦過ぎてもやり続けているところが凄い!
河崎:僕の映画人生を語る上で、配給の叶井俊太郎(現・TOKANAで配給業務に従事)という、バカがいないと成立しないんですよね。バカは誉め言葉なんですが、叶井さんが配給した『えびボクサー』が当たった時、ほとんど面識はなかったんですが、彼に電話して、「あんた『えび』の人だろ? 今度『いか』やんないか? レスラーで」って言ったら、「ああ、いいですよ」って(笑)。そこからの付き合いなんです。叶井さんにとって、映画の内容はどうでもいいんです。普通だったら、こうしてくれ、あーしてくれと、なんか注文つけたりするじゃないですか。それが一切ない。とにかく黙って配給宣伝に入れ込んでくれるんです。信頼関係なのか、無関心なのか、なんだかわかりませんが、そこがいいんですよね。
――なるほど、それは河崎監督の世界観を大切に思っているからじゃないですかね。今回の作品も、バカ映画全開ということで、不条理どうぶつシリーズをたっぷりと堪能させていただきました。最後に締めのメッセージをお願いします。
町:この映画を観終わって思ったのは、嫌なこと、不安なことを普通に忘れる時間だったなと。今、真剣に考えなきゃいけないことがあまりにも多すぎるので、『タヌキ社長』を観て、笑ったり、温かい気持ちになったりすることって、とても大切な気がしますね。
河崎;コロナや戦争で真っ暗な世の中、せめて映画を観ているときくらい笑顔でいてほしいですね。ただ、何十億もかけたハリウッド映画も1,900円、『タヌキ社長』も1,900円、もう劇場に来た時点で諦めてください(笑)。『シン・ウルトラマン』と真逆の世界観ですが、バカ映画の決定版なので、とにかく怒らないで観てほしいです!
取材・文・撮影:坂田正樹
広告制作会社、洋画ビデオ宣伝、CS放送広報誌の編集を経て、フリーライターに。国内外の映画、ドラマを中心に、インタビュー記事、コラム、レビューなどを各メディアに寄稿。2022年4月には、エンタメの「舞台裏」を学ぶライブラーニングサイト「バックヤード・コム」を立ち上げ、現在は編集長として、ライターとして、多忙な日々を送る。(Twitterアカウント::
@Backyard_com)
『 タヌキ社長 』
監督:河崎実
キャスト:町あかり、関智一(タヌキ社長の声)、ジャンボたかお(レインボー)、池田直人(レインボー)、モト冬樹、吉田照美 ほか
製作:有限会社リバートップ
主題歌:ぼんぼん花―――火
キャラクターデザイン:森野達弥
配給:TOCANA
2022年5月20日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ他 全国ロードショー!