薄毛の克服には植毛とAGAどちらが効果的?それぞれにリスクと制約も
今、海外で植毛する日本人が増えている。その魅力は日本の半値以下でできる安さ。100万円足らずで植毛し、コンプレックスを克服した“元”薄毛者も。しかしながら、悪質な植毛クリニックも存在するようだ。専門家に話を聞いた。
「海外植毛は、クリニックの選択を誤ると取り返しがつかない」
こう話すのは、世界の著名な植毛医が所属する国際毛髪外科学会(ISHRS)でアジア人初の会長を務めた柳生邦良医師。実は、以前から悪質な植毛クリニックの存在が問題視されているという。
「ISHRSは’10年頃から『Fight the Fight』という活動を行っています。悪質なクリニックの廃絶と患者の保護を目的に、さまざまな啓蒙活動を続けているのです。
FUE法でドナー毛根の向きを考慮せずに採取すれば毛根が切断されます。切断されたものを移植しても太い髪は生えません。また、機械式植毛ではドナー株が多量に切断される場合があり、移植部にほとんど髪が生えてこないケースが報告されている。
コンプレックスを抱え、被害者が名乗り出てこないことをいいことに、海外の悪質なクリニックは航空券代や空港からのリムジン送迎、ホテル代込みの格安植毛プランで世界中から患者を集めているケースがあるのです」
FUT法では後頭部の頭皮を帯状に切除して毛を蓄えたドナー株を採取して頭頂部などに植えるが、切除箇所の縫合が適切に行われないと幅広い傷跡が残るという。「皮膚は元いた箇所に戻りたがるので、縫合した傷痕の幅が広がる」のだ。植毛に失敗すると取り返しがつかなくなる点には注意が必要だ。
一方、日本で急速に広まったAGA治療には“向き不向き”がある。
「AGA治療の現場ではだいたい、ミノキシジルとフィナステリドのどちらかを主成分とした薬が処方されていますが、その人の体質によって効果に差が生じることが明らかになってきています。
ミノキシジルは人が持つ酵素と反応して初めて育毛効果を生むのですが、その酵素の活性の強弱によって効果の度合いが変わってくる。だいたい4割の人には効果的で、2割の人には効きづらいとされています。フィナステリドも同様。
だから、両方使用すればかなりの確率で発毛効果が得られる。その効果のデータ結果は公表されている。アジア人がフィナステリドを服用した場合、毛髪の直径が平均約10%太くなると報告されています。若く健康な髪なら密度やボリューム感の増大効果を実感できますが、30μm以下の産毛が10%太くなったところでたかが知れている。だから、年を取って薄毛が進行してしまった人ほど、髪が生えても求める毛量に届きづらい」
悪質な植毛クリニックに要注意。AGA治療効果には個人差あり
AGA治療には“向き不向き”が
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