更新日:2022年06月18日 20:04
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大学生の彼女が妊娠。彼氏役を演じる藤原季節「人と向き合うときは、ちゃんと傷つくことが大事」

人と向き合うとは、ちゃんと傷つくということ

わたし達はおとな

(C)2022「わたし達はおとな」製作委員会

――自分に自信がなかったり、傷つきたくなかったり。そこを乗り越えるのは、すぐにできることじゃありません。 藤原:自信があるから向き合えるかというと、そこにもまた危険がありますからね(苦笑)。あと大事なのは、ちゃんと傷つくことですよね。誰かと一生懸命向き合うって傷つくことだから。ちゃんと傷つかなきゃダメなんだと思えるようになりました。 ――本作にもまさに言えますね。キャリアを築いていくなかで、俳優という仕事に意識していることはありますか? 藤原:基本、どんなに言いづらいセリフであっても、書かれているセリフをそのまま言うということを守っています。そしてそこで生まれてくる感情と向き合ってみる。セリフを自分に寄せていく俳優さんもいると思いますが、僕は作家さんが書いたセリフをそのまま言って、自分が持っていない文脈に出会ってみたいんです。 仕事を重ねて、そうした気持ちがより強くなっている気がします。自分の物差しではなく、監督、脚本家、スタッフさんたちの物差しに乗っかってみたい。もちろんそのためには作品への信頼が必要です。 ――現場ではご自身を差し出している感じでしょうか? 藤原:昔よりフラットかもしれませんね。日常生活でさまざまな感情に向き合ったり、豊かにして、自分のなかにいろんな文脈を蓄えて、現場ではフラットにいる。蓄えたものが、ひょっとしてにじみ出たらいいなぐらいの感じです。

憧れの先輩の存在に、年齢を重ねる楽しみが増える

――来年30歳になりますが、憧れている先輩はいますか? 藤原:真似はできませんが、パッと思い浮かぶのは井浦新さんです。自分が同じ年齢になって、あんなにパワフルでいられるかなと思いますが、そうした姿を見ていると、年齢を重ねるひとつの楽しみになります。 ――井浦さんとは、『止められるか、俺たちを』(18)でお仕事されてからのお付き合いですね。コロナ禍も以前より落ち着いて、またお会いされたりしているのでしょうか。 藤原:会ってご飯を食べようといった関係ではないんです。節目節目に挨拶のメールを送らせていただくと、「自分の背中なんて軽く追い越せよ」と言われます。映画界の兄貴とか、親父という感じです。それに『止められるか、俺たちを』での関係が抜けなくて、新さんに会うとなったら、足を崩せません。 『止められるか、俺たちを』ではほかにも高良健吾さんや毎熊克哉さんといった方たちとご一緒して、俳優の兄さんたちとして今も浮かびますし、そうした存在がいるのは嬉しいことです。最近、高岡蒼佑さんが格闘家としてデビューした姿にも感動しました。あの年齢で若者と殴り合うなんて真似できません。
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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