スポーツ

ブラジルに「枠内シュートが0本」の日本代表。森保監督でW杯を戦えるのか

 2022年11月に開幕する「FIFAワールドカップ2022 カタール」に向けて、日本代表が国内で4試合の強化試合を行った。6月2日に札幌で行われたパラグアイ戦では4-1で快勝し、続く6日に国立競技場で行われたブラジル戦では0-1の惜敗となった。その後、立て続けに開催となったキリンカップ2022では、初戦に神戸でガーナと対戦して4-1で快勝したが、大阪で行われた決勝ではチュニジアを相手に0-3で敗戦。4試合で2勝2敗という結果に終わり、ワールドカップ本大会に向けた課題が浮き彫りになった。

ブラジル戦はチケット完売。6万3638人もの観客が集まった

4試合で「課題を与えてもらった」

 この4試合でさまざまなことを試した森保一監督も、「今回の4試合でいろいろな経験をすることができた」と振り返り、「課題を与えてもらった」と総括している。選手個々もできた部分とできなかった部分を明確にし、今後の成長につなげるモチベーションを高く持った期間となったことだろう。  今回の4試合では最終予選で見せた戦い方をベースにして、さまざまなことを試している。システムでいえば予選終盤で定着した4-3-3のほかに、選手の組み合わせを変えて4-1-4-1を試したり、最終ラインの人数を変えた3バックも試したりしている。また、起用する選手の組み合わせを変えて、グループの相性やコンビネーションを確認している。細かな戦術面でも、ボールを保持するポゼッションを主体とする攻撃だけでなく、意図的に素早く前線へボールを送り込むカウンター攻撃も行っていた。今後はこれらをブラッシュアップさせていくとともに取捨選択をし、実際に本大会に持ち込むものを決めて最終メンバーを選ぶことになる。

ブラジル戦の枠内シュートは0本

ブラジル戦では右サイドバックで出場した長友

 今シリーズで最も注目を集めたのがFIFAランク1位のブラジル戦だろう。ブラジル代表と5度目の対戦を終えた長友佑都は点差以上の実力差があったことを前提としたうえで、「今まで何もできなかったブラジル戦と比べると、僕自身は手応えを持てた試合だった」と振り返っている。また、吉田麻也は「課題と収穫の両方があると思っています。0-1でしたが、もちろん実力差は点差以上にあるんじゃないかなとは正直思ってます。ただ、プランどおりに試合を運べたこととか、守備のはめ方とか、プレスのかいくぐり方など、できるところももちろんありました」と、具体例を挙げて試合を振り返っていた。  ネイマールやヴィニシウスなど世界屈指のタレントを擁するブラジル代表を相手に、PKのみの1失点で試合を終えた結果を見て、守備面に関しては本大会でも通用するという感想を持った人も多いと思う。一方、攻撃面では枠内シュートが0本と得点の気配がなく終わり、大きな改善の余地があると感じたことだろう。
次のページ
チュニジア戦の3失点とは何だったのか
1
2
3
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ