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「『年収200万円で豊かに暮らす』は欺瞞」古谷経衡氏に発言の真意を聞いてみた

豊かさの定義と必要な所得水準

 豊かさや幸せの尺度は人それぞれではあるが、古谷氏が考える“豊かさの定義”は以下のとおりだ。 1.国が定める誘導住居水準に到達する住宅に住んでいること(賃貸・所有を問わず) 2.自家用車を保有していること 3.コンビニで買い物をするとき値段ではなく糖質やカロリー表示を確認する消費行動をとること 4.年に1回以上、「他国への旅行」を行えること 5.季節を問わず、連続する14日以上の休暇を取っても家計を圧迫しないこと 6.借入金の総額に対し、金融資産および固定資産の評価等を合計した「財産」が、その2倍を上回っていること  古谷氏が考える上記の定義に合致する所得水準は「最低で、手取り700万~800万円と思われます。額面では1000万円前後必要かと思います。自営業者だとやや下がり、手取り600万~7000万円かと思われます。この数字は単独ではなく、世帯所得の合計でも構いません。但し職種、家族構成、ローン等の残債等によってはこの限りではありません」という。

年収200万円は“救済すべき貧困ライン”

「物価の安い東南アジアの国に移住すればという意見もありますが、日本での生活水準を当該国で維持しようと考えると、200万円では絶対に不可能です。もはや年収200万円は『救済するべき貧困ライン』であることを踏まえ、福祉の力を借りなければならない段階にきています。  美化したり、清貧であると礼賛することは社会問題としての貧困解決を遠ざけるばかりで、どう考えても、どう計算しても、日本で年収200万円で豊かな生活はできないことを知るべきです。もっとも、良い条件の土地所有者であったり、相続した株式配当等があれば、200万円でもどうにかなるかもしれませんがそれは特殊事例。  すでに豪州やシンガポールに日本人が出稼ぎに行くことは珍しくありませんが、英語能力が必須であり、英語圏やスペイン語圏の人々が旧宗主国や産油国等に出稼ぎに行ける状況とは異なっています」  最後に「絶望しかない」と強く結んだ古谷氏。物価高、生活苦でも所得が上がらない状況に「仕方がない」と目をつぶるのは本当に美徳か。耳障りのいい言葉で自分を納得させるのではなく、アンダークラスが拡大している現状に何ら具体策を示さない世の中や政治に違和感を持つことこそが、大切なのかもしれない。 取材・文/日刊SPA!編集部
(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数
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