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峰なゆか「私が金髪にするのは『わが子ちゃん』を守るため」育児漫画に込めた思い

妊娠初期の流産確率はロシアンルーレット並み

わが子ちゃんゲラnikkann_page-0001――今はお互いの仕事のスタイルや時間帯に合わせて育児を分担し、チャラヒゲさんも多くの部分を担っているわけですが、妊娠中は、つわりに苦しむ峰さんとチャラヒゲさんに温度差があったことも作中には描かれていますね。 峰:男性は体調の変化もないので、特に妊娠の初期段階では、どこか他人事として捉えてしまうことがありますよね。でも女性は、つわりの苦しさだけでなく、流産の恐怖とも戦っているんです。妊娠初期(妊娠12週まで)に流産する確率は15%。約6分の1です。ロシアンルーレットと同じ確率なんです。 ――「お腹に銃口を突きつけられているような生活」と描かれていましたね。 峰:今も世の女子トイレの個室では、流産して出血をしている女性がいるかもしれない。でも男性は誰もそんなことは、想像すらしないですよね。  そして、妊娠初期って流産の確率も高いから、安定期に入るまで妊娠を公表しないことが多いので、その時期に相談できるのは基本夫だけなんです。唯一の相談相手に流産の怖さや、つわりのしんどさをわかってもらえない孤独って想像以上にきつい。  私の場合は、妊娠初期にそういった点についてものすごくキレたことによって、チャラヒゲがかなり協力的になりました。家事をこなして、毎日大量のご飯を作り続けながらも、私の体調不良を引き受けることができない無力感に苛まれているくらいでしたね。

チャラヒゲを「偉大なる父」と呼ぶことにした

――家庭内でコミュニケーションの工夫もされたとか。 峰:「妊娠によって心身が変わる女性に比べて、男性は子どもが生まれるまで父との自覚が芽生えにくい」ことは一般的に言われているし、私とチャラヒゲとの間に生まれてくる子どもへの「愛情格差」ができると良くないので、チャラヒゲを「偉大なる父」と呼んで、父親になる自覚を植え付けていました(笑)。あとは、パパ向けのアプリをダウンロードさせたり、育児雑誌を読んでおかしなところを添削させたり、日々「父親としての自覚を持たせる作戦」を続けていましたね。 ――父親の育児参加を促すために自治体が開催する「パパママ学級」もありますよね。 峰:よく、パパママ学級では、男性が7kgぐらいの妊婦ジャケットをつけて、妊婦体験するプログラムがあるじゃないですか。政治家が「こんなに重いんですね~。妊婦さんって大変ですね」「敬意が湧いてきた」とか言っているニュースも見ますけど、あれにはちょっと鼻白んでしまうんです。  ホルモンバランスが乱れてメンタルも不安定になるし、今後のキャリアの見通しもつかない、自分の身体が急激に変化する恐怖や、胎児が無事か常に不安がつきまとう………妊婦の大変さがお腹の重さだけの問題なわけないじゃないですか。「これくらいの重さなら全然余裕だわ~!」とか言い出すバカな男が出てきたりしたらもはや逆効果だし。  よく出産時の痛みを例えて「鼻からスイカを出すぐらい痛い」なんて言葉もありますが、これはちょっと非現実的ですよね。男性が出産の痛みを体験をするのなら、肛門から2リットルのペットボトルを入れたまま、しばらく過ごして再び出すぐらいのイメージをしてほしいです! わが子ちゃんゲラnikkann_page-0002
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男が名字を変えるのは「屈辱」?
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週刊SPA!をはじめエンタメからビジネスまで執筆。Twitter :@AkeMin_desu

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峰なゆかの革命的育児漫画

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