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カルト団体の3人が崩壊していく『ビリーバーズ』作者・ 山本直樹の原動力とは

「観客のみなさんのトラウマになってほしいですね(笑)」

山本直樹/漫画家

撮影/川竹直人

 これまで漫画家・山本直樹の作品は『BLUE』『ありがとう』など、数多く実写化されてきた。今回は、無人島で共同生活を行うカルト団体の3人が、徐々に崩壊していく様子を描いた『ビリーバーズ』が城定秀夫監督の手によって映画化。作者本人の目にはどう映ったのだろうか。 「いやあ、面白かったですよ。ラストに向かうにつれて、悲惨なことになっていくから。原作でも途中で“笑い”や“エロ”を入れて、よりギャップを生むようにした。それがちゃんと映画にも盛り込まれていたし、R-15指定で高校生も見られるのがいい。しっかり観客のみなさんのトラウマになってほしいですね(笑)」

人間が壊れていく過程を描きたかった

ビリーバーズ/映画

©山本直樹・小学館/「ビリーバーズ」製作委員会

 映画では自身も登場。カルト団体の信者から慕われる主宰者「先生」という重要な役どころだ。 「出ちゃいましたね。初弾着、初血糊も経験できた。自分のシーンは正視できないけど(笑)。それにしても、磯村勇斗さん、北村優衣さん、 宇野祥平さんの演技は素晴らしい。3人が教義に縛られて、性的ポテンシャルを外部に出せずムラムラしていく様子はお見事。僕の好きな’70年代の映画を彷彿させるシーンもあった。真夏の浜辺でのセックスシーンは藤田敏八監督の『八月の濡れた砂』ぽいし、乱闘のシーンで流れるフリージャズはまさに若松孝二監督だよね」
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「カルト団体」の話が用いられている背景となった事件
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大学を卒業後、土方、地図会社、大手ベンチャー、外資など振り幅広く経験。超得意分野はエンタメ

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