お金

「1万円札の絵」を描いてわかる子供の投資センスとは? お金の授業の現場から

なぜ金融教育が必要になったのか

 これまで触れられなかったお金の話が、高校教育にまで導入されるようになったのか。そこにはいくつかの時代背景があるが、主要なものについて濱田氏は次のように話す。 「私はいわゆる『団塊ジュニア世代』ですが、私の親世代くらいまでは『結婚をして子供を作って、家まで持って一人前』というような意識がありました。しかし今は、多様性の時代なので人生の目標は人によって様々になっています。そうなると、一律で人生にいくらかかるかという教育はできませんよね。なので、学生ひとりひとりがお金について自分で考える必要が出てきたということがあるでしょうね」  多様性の広がりによって、個人の判断が求められる時代が教育にも反映されているようだ。また、そのほかにも昨今の国の金融政策からみても、早いうちからの教育が必要になってきているという。 「日本は今、ご存知の通り金利がすごく低いですよね。これは何となくそうなっているわけではなくて、国の政策で金利をあげていないんです。預金金利だけではなく、借り入れする際の金利も低いと言う事です。例えば、住宅ローンの金利も今はとても低いんですが、それによってこれまで住宅ローンが組めなかった年収の人でも住宅ローンが組みやすくなって家を買えるようになるなど、経済を回すという面では良い面でもあるんです。ただ、預貯金を中心にお金をやりくりしようとする人にとっては、金利が低いからお金が増えていかないですよね。  その結果、投資をする人も増えてきています。そうしたこともあって、学生のうちから学ぶ必要があると考えられるようになったのではないでしょうか」

まずは生活設計、家計管理の話から

 学生にとっても、将来的にひとりひとりが考える必要が出てきたと言う事実はあるだろう。しかし、大人になって収入を得るようになってからの方が実感が湧いて身につくのではないのだろうか。 「お話したような時代背景もあって、金融庁が2014年に『金融リテラシーマップ』というものを作ってるんですよ。そこには『小学生、中学生、高校生、大学生、若年社会人、一般社会人、高齢者のそれぞれの世代で必要なお金のことについて理解しましょう』というような内容が示されています。同じく金融庁が作成した『高校生のための金融リテラシー講座』の内容を見ると、いきなり投資の話はしていなくて、生活設計や家計管理の基礎からお金について学んでいく構成となっていますね」
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預貯金から投資の時代へ
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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