お金

「1万円札の絵」を描いてわかる子供の投資センスとは? お金の授業の現場から

投資は実質リスクゼロ?

 運用の方法や期間などの考え方によっては、投資をすることの大きなリスクはほぼ無しと話す濱田氏。投資にリスクがあると思っている人の多くがしている誤解とは一体。例として株式投資についての考え方を聞いてみた。 「ある企業の株式を購入したとして値段が上がったところでそれを売れば『儲け』で、値段が下がったときに売ると『損』。これが投資だと思っていませんか?  例えで考えてみましょう。もし、牧場を買って儲けを出そうと思ったら、『1億円で牧場を買って翌月に2億円で売ろう』なんて思わないはずです。『その牧場でどのくらい牛乳が採れて売れるか』を考えると思いますが、それが投資の考え方なんです。  どういうことかと言うと、もし、赤字の年が何度かあっても10年後には1億円の純利益が出たとしますよね? 考え方を変えると、1億円の投資に対して年率10%で運用ができたとも言えます。  つまり、『その会社の株式がいくらで売れるか』ではなく『その会社が将来どれだけ利益を出すか』を考えるのが投資なんですね」

現金がなくても大丈夫?

 これで投資についての誤解が解けた人も多いだろう。しかし、持っている株式の価値が上がっただけでは、ライフプランの中でお金が必要になったときに、現金がないということもあり得る。まして、持っている株式の価値が下がっているタイミングであれば売ることもできないが、そのリスクについても濱田氏に聞いた。 「株式には『配当』というものがあります。例えば、わかりやすくざっくりの説明ですけれど1口100万円で買った株式に年率10%の配当利回りがあったとしたら、年10万円の配当金があるということですね。ここが、預貯金との差なんですよ。  今の時代100万円貯金していても、1年で10万円の利息がつくことなんてないですよね。  ですが、国内の上場企業の中でも10%前後の配当利回りを出している企業もいくつかあります。 そう考えると株価や配当利回りに変動があるとは言え、最初に言ったように考え方によってですが、デメリットはほぼないと思います。株式の価格だけを見て判断してしまう方も多いんですが、長く持ち続ける前提で中身を見ることも大切ですね。  具体的にリスクを減らす投資方法として、金融庁も推奨する『長期積立分散投資』があります。投資信託を使って投資する方法ですが、株式以外の債券など種類の違ういくつかの資産へ分散すれば(資産の分散)価格の上げ下げのリスクを減らせるし、日本以外の海外にも投資先を分散する(地域の分散)ことで、将来の世界経済の成長からの利益を期待できます。また、積立なので毎月1,000円など少額で始められますし、始めるタイミングを考える必要も無くて『高い時には少しだけ、安い時はたくさん買える』ことを理解して、コツコツと長く続けるだけなので手軽に始められますよ」

一般社団法人マネーリテラシー推進協会、代表理事・濱田智幸氏

 投資について学ぶ機会のなかった世代には、預貯金だけをしている人も多いのではないだろうか。昨今の急激な物価上昇はまさに、相対的にその価値を下げているものだ。これからの社会をより安全に生き抜くためにも、投資は必要になってくる。同記事をきっかけに、それに気づく人が増えることを願う。<取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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