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106億円溶かした大王製紙元会長、再びカジノで“億”勝負「出所後、ギャンブルの疼きが蘇った」

ソウルで3000万円が9億円に!

「大きく勝ったときになぜ止めないのか?」とよく聞かれるそうだが、「そこで止めないからこそ、それだけ増やせる」というのが井川氏の持論

――大きくジャンプするために、いったんしゃがみ込むわけですね。ソウルでは3000万円が9億円になったそうですね。過去には150万円を23億円に増やした経験もあるとか。井川さんのギャンブルにはゴールはないんでしょうか? 井川:2018年の韓国「ウォーカーヒル」では3000万円を元手に9億円まで増やしましたが、このときも最初は流れが悪く、負けが込んだかに見えていたんです。でも、ある瞬間からポーンと勝ち戻し、1億円のプラスに。ここからは余裕が生まれ、あとは4日間かけて9億円まで増やすことができました。 150万円を23億円に増やしたときは、負け続けて最後に捨て鉢な気分で張ったなけなしの150万円から奇跡が始まりました。150万円が300万円になり、300万円が600万円とアメーバが無限増殖するように、23億円まで一気に増えたんです。ギャンブルの世界では「マジック・モーメント」(奇跡の時間)と呼びますが、この時ほど脳髄が痺れたことはありません。そして、いつしかあのときのマジック・モーメントを追い求めるようになったんです。 「いくら儲かったらやめよう」というのは正直ありませんね。例えば、釣りに行く人は魚を食べたいから行っているわけではないと思うんです。今回30匹釣ったら次回はそれ以上釣りたいと思うでしょうし、3kgの真鯛を釣ったら次は5kgを釣りたいとかね。すべては通過点でしかないんです。 3000万円が9億円に、150万円が23億円になったときに「なぜそこでギャンブルを止めないのか」と言いたい人も多いでしょう。でも、そこでギャンブルを止めないからこそ、9億円や23億円まで増やせるのです。 150万円が300万円になったときに「これで車を買えるな」と思う人や、300万円が600万円、1200万円になって「これでマンションの頭金が払える」と考える人は、そこで賭けを止めてしまう。ゴールがないからこそ、ありえないような金額まで勝ち上がることができるんです。 まあ、その結果、ソウルで勝ち上がった9億円も最終的には熔かしてしまったわけですが。でも、9億円負けたのではなく、元手は3000万円ですから(笑)。

バカラへの情熱が「突然消えた」瞬間

――その後、2019年夏、シンガポールのセントーサ島で、1か月間バカラをやり続けて、さらに4000万円を熔かしてしまったんですよね。 井川:あのときは、完全にまずいリズムにはハマり込んでいました。いい出目がこないからと、ダラダラと延長して金策したのが敗因でした。そして、1か月間バカラをやり続けた結果、「もういいや」という気持ちになったんです。バカラへの情熱が突然消えた瞬間でしたね。その直後に新型コロナウイルスによるパンデミックが発生し、海外へ行けない状況となりました。現在は徐々に海外渡航が解禁に向かっていますが、私にとっての“バカラED”は今でも続いています。 ――刑務所の中で限定版のフェラーリを買い集めていたそうですね。 井川:当時は刑務所の中からカーディーラーに連絡して、フェラーリやポルシェを買い集めていました。10台以上はありましたね、乗れもしないのに(笑)。塀の中では読書とテレビくらいしか娯楽がないので、クルマのことを考えると気が紛れたんです。買い集めたクルマは、渋谷のセルリアンタワー地下駐車場に並べていました。駐車場代は年間1200万円にも上って「なんて愚かなことをやっていたんだろう」と思いますね。 ただ、限定版のフェラーリは値落ちしにくく、なかには買った瞬間にプレミアムがつき、値段が2倍になったりするものもあります。「スペチアーレ(限定版)フェラーリ」とも呼ばれ、これは何台もフェラーリを買ってくれる上顧客へのメーカーからの“お返し”のようなものなのです。このクルマたちは、ソウルやセントーサ島での戦いで負けが込んできたときに、カジノの“火力”を補填するために売却してしまいましたが……。 こうしてバカラから足を洗い、フェラーリのコレクションからも卒業した今、際限なく欲望を追求することはなくなりましたね。現在の楽しみは、美しい女性や仲間たちと毎日好きなだけ酒を飲むことくらいです。かつては106億8000万円を使い切っても満足できなかった私が、ずいぶんと悟りを得たものだと思います。 井川意高氏 大王製紙元会長。1964年、京都府生まれ。東京大学法学部卒業後、1987年に大王製紙に入社。2007年6月、大王製紙代表取締役社長に就任、2011年6~9月に同会長を務める。社長・会長を務めていた2010年から2011年にかけて、シンガポールやマカオにおけるカジノでの使用目的で子会社から総額約106億8000万円を借り入れていた事実が発覚、2011年11月、会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕される。懲役4年の実刑判決が確定し、2013年10月から2016年12月まで3年2か月間服役した。著書に累計15万部のベストセラーとなった『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』(双葉社、のちに幻冬舎文庫)のほか、堀江貴文氏との共著『東大から刑務所へ』(幻冬舎新書)がある。最新刊『熔ける 再び そして会社も失った』(幻冬舎)が発売中。 <取材・文/日刊SPA!編集部>
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熔ける 再び そして会社も失った

懲役4年の刑期満了後に、再びカジノへ

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