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寿司職人になった元アイドル「自炊も料理も未経験だけど“握りのテスト”は1位」

 ジェンダー平等が叫ばれて久しいが、現在でも男性中心の社会が続く世界も多い。寿司業界もそのひとつ。そんな寿司の世界に調理経験ゼロで飛び込んだ、あこ63さんという元アイドルがいる。寿司職人になった理由と、彼女にしか表現できない寿司の魅力とは。本人を直撃した。
あこ63

あこ63さん

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失業と失恋から寿司の道へ

――寿司職人になったきっかけを教えてください。 あこ63(以下、あこ):2年前にアイドルをやめて、外国人観光客向けのバーで働いていたんですが、コロナで閉店することになり職を失ったのがきっかけです。 ――寿司に強い思い入れがあったんですか? あこ:あんまりなかったです(笑)。それまで回転寿司しか行ったことなかったですし。親も料理をする人ではなかったので、家に包丁もありませんでしたし、自炊もしないので料理の経験もありませんでした。 ――それなのになぜ「寿司」を選んだんですか? あこ:コロナの最初の時期で日本中が元気がなくて、「ここに入ろう!」って思える仕事がなかったんです。そして私自身もちょうど失恋したばかりで、とても落ち込んでいました。 私はその頃、お肉を食べに行く時は「肉」って書かれたTシャツを着て行ったりしていたんですが、友達とお寿司を食べに行く時に「お寿司」って書かれたTシャツを着ていったんです。そしたら友達が「そんなにお寿司が好きなら寿司職人になればいいじゃん」って言ってくれて。

貯金100万円をはたいて学校に

――人生が「マイナスになった」ように感じる時だったからこそ、大きな気合いとかではなく、友達の不意な一言で寿司の世界に入ってみようと思えたんですね。 あこ:その時持っていた貯金が100万円くらいだったんですけど、興味を持って調べたお寿司の専門学校の学費が90万円だったので、貯金をはたいて入学しました。 ――寿司どころか、調理も未経験の状態から始めてみて、どうでしたか? あこ:めちゃくちゃ楽しくて、学生の頃の部活や勉強やアイドル活動より夢中になれました。とにかく学校が楽しくて。私の代は生徒が20人くらいだったんですが、首席で卒業を目指すことにしました。 ――未経験から、高い目標ですね。同期はどんな人たちだったんですか? あこ:昔からの夢で「寿司の道しかない」という感じの人や、コロナで仕事が減ったので寿司の勉強をしてみようというお金持ちのオジ様たちが同期でした。他の人はもちろん、回転寿司にしか行ったことがない私より、寿司の知識は圧倒的に多いので、最初の頃は、みんなが当たり前に知っていることで私が知らなくて驚かれることもよくありました。最下位からのスタートって感じですね。 ――そこから学校に通い始めて、卒業するときの成績は? あこ:学校に通っている期間は、本当に寿司だけに生活の全部をかけていました。その結果、握りのテストも1位になって首席で卒業できました。
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女子は寿司職人に向いていない?
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