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視聴率“1ケタ”並ぶ「夏ドラマ」に業界人の本音。ネットで批判殺到『ちむどんどん』の評価は?

第2部突入で面白さ倍増の『純愛ディソナンス』

 
 B氏は、今期のドラマで意外な注目作も教えてくれた。 「『Hey!Say!JUMP』の中島裕翔さんが主演を務める『純愛ディソナンス』(フジ系、木曜午後10時~)はダークホース的な良作ですよ。中島さん演じる教師・正樹が吉川愛さん演じる女子生徒との禁断の恋愛関係になる、ベタな教師と生徒の恋愛ドラマかと思いきや、蓋を開けてみるとドロドロとした人間関係が交錯するサスペンス要素のある作品になっていき、びっくり。  2部に入ってからは登場人物のほとんどが闇を抱えた不気味なキャラばかりに見えて、先を読むのが面白いドラマに急変しました。視聴率は3%台で苦戦していますが、一気に上がってくるのでは? 最近は、2部構成になっているドラマが多いのですが、このドラマはその構造をうまく利用できている。光石研さんや佐藤隆太さんの迫真の演技も良くて、もっと評価されてもいいはず」 “教師の禁断の恋”を謳い文句にしたこともあり、低空飛行だった同作だが、考察好きの視聴者なども巻き込んで人気を博しそうだ。

テンポの良さとバディの掛け合いも痛快な『石子と羽男』

 深夜ドラマやアニメを中心に活躍するシナリオライターのC氏も、視聴率こそ伸びていないが評価するドラマを挙げてくれた。 「思ったよりも視聴率が伸びていませんが『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)はかなり良いドラマですよ。有村架純演じる東大卒のパラリーガル・石田硝子と中村倫也演じる高卒の弁護士・羽根岡佳男の相容れない男女バディが一風変わった事件を裁いていくリーガルドラマ。  こう聞くと、よくあるバディ法廷ドラマなのですが、扱う事件のテーマが『カフェでの無断充電』や『ファスト映画』といったイマドキの小さなトラブルばかり。そのチョイスも秀逸で、ストーリー展開も分かりやすくテンポもよい。それでいて、硝子と羽根岡が徐々にお互いを理解し合っていく描き方やセリフ回しは無理矢理すぎず、洗練されている。  脚本を手掛けている西田征史さんは元芸人という異色の経歴で、コミカルさや軽快なテンポ感には定評がある。同作でもそれが生かされていますよね。それでいてセリフや人間描写もうまい。すでに売れていらっしゃいますが、もっと知られるべき作家さんですね」  低迷が続く朝ドラや夏ドラマ。しかし、テレビ関係者がちゃんと評価するドラマも多いだけに“見ず嫌い”にならずに、今からでもチェックしてみてほしい。 <取材・文/木田トウセイ>
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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