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KINCHOのテレビCMが“尖りすぎてる”理由「炎上を狙ったわけではないです」

記憶に残るあのシリーズの裏側

水性キンチョウリキッド

水性キンチョウリキッド

 評判になったCMは、同じ出演者で数年に渡ってシリーズ化されることもある。大滝秀治が岸部一徳に「つまらん!お前の話はつまらん!」と一喝する場面が印象的な「キンチョール」のCMも数年間に渡って様々なパターンが作られた。同CMの撮影エピソードを小林氏に聞いた。 「CMは、撮影前に制作側から出された演出コンテ通りに撮影するのが普通です。しかし、当社のCM制作現場では撮影中も常に新しいアイデアを模索します。このCMも現場でのアイデアからあのセリフは生まれました」(同)  同じように長くシリーズ化されたCMに、山瀬まみがピンクのカッパの着ぐるみで出演する「水性キンチョウリキッド」がある。「あぶらとちゃうちゃう!ベトベトちゃうちゃう!」という独特のリズムが記憶にこびりついている人も多いのではないだろうか。  このシリーズについて、小林氏は個人的な思い入れもあるという。 「水槽に入っている山瀬まみさんに『おい、油とちゃうちゃうやってくれや!』と男性が悪態をつくCMがあるんですが、あの男性、私なんです(笑)。弊社の制作スタッフは、その役に最適と思う人間であれば、それがたとえ社員であっても起用したりするんです。予算をあまりかけられない分、アイデアとインパクトで勝負ですね」(同)

尖っているのはテレビCMだけではない

 テレビCMは多くの人にもおなじみであるが、実はラジオCMも、インパクトの強いものが多い。最近まで放送されていたCMは、やたら棒読みが耳につくものだった。SNSでも「今年の棒読みバージョンじわじわ来るなぁ」「なぜ棒読みなのにCM内容がモロに伝わってくるのだろう」と、気になる人も多い様子。 「ラジオは固定ファンも多く、面白いCMを作ればラジオファンがそのままKINCHOのファンになってくれる可能性が高いと思っています。CMのことをお話しする場として、私自身がラジオ番組に出演させていただくこともありますが、これも話題性のあるラジオCMを作り続けてきたからこそのメリットだと思ってます」  さらに、ラジオに対しては小林氏の個人的な思いも、ふんだんに反映されているようで、ラジオCMに対する熱意を語ってもらった。 「私はラジオが大好きなんですが、あまりインパクトのあるラジオCMって少ないなと思っています。リスナーの立場から、CMがラジオの中の楽しいコンテンツ一つになれば、ラジオ全体がもっと面白くなるんじゃないかと考えています。各スポンサーの皆さん、もっと面白いCMを作ってラジオをみんなで盛り上げていきましょう!」  これまでのテイストとアイデアを持って、今後は他の媒体での広告も考えていきたいという同社。その切っ先が鈍らず、さらに面白いCMが誕生することを期待せずにはいられない。<取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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