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旧統一教会が韓国で“邪教扱いされない”ワケとは?「食品ビジネスの団体という認識」

韓国でのヘイトスピーチが報道されないワケ

2017年に韓国で行われた、国際合同結婚式の模様 撮影/日刊SPA!

 現在、日本のメディアでは旧統一教会関連のニュースが連日大きく報じられている。一例を挙げると、8月18日にはソウルで統一教会の日本人信者が4000人ほど集まって「ヘイトスピーチをやめよ!」「信教の自由を妨害するな!」と批判報道に対する反対デモを決行。その様子はワイドショーでも生中継されたほどだが、肝心の韓国国内ではまったくニュースにもならず黙殺されていたという。 「統一教会系の『世界日報』も完全無視していたくらいだから、いささか異常だと思いますね。通常、こうしたデモは事前に各メディアへ情報を伝えておくものなんですよ。自分たちに伝えたい主張があるんだから、報道を通じて世にメッセージを拡散してもらいたいと考えるわけで。でも今回のデモは、韓国社会で話題になると教団としては都合が悪い。極力、大ごとにしたくないんです。あくまでもアピールは日本向けであって、韓国国内では今までどおりコソコソと活動していくつもりなのでしょう」

韓国に嫁いだ日本人信者が日本語の先生を

 さて、ここまでフラットな視線で解説してくれたオ氏だが、実は個人的にも旧統一教会に対しては複雑な思いを抱えているのだという。普段から日本人相手にビジネスを行う機会が多い彼は、日本語も極めて堪能。しかし最初に日本語を教えてくれた“先生”は、なんと旧統一教会の敬虔な信者だったそうだ。 「あれは1992年頃でしたかね。学生だった僕は日本の文化に興味を持ち、日本語を勉強したいと考えていたんです。そこに現れたのが合同結婚式で韓国人と結婚したという日本人女性。僕の地元・大邱(テグ)は工場ばかりあるような街だから、今でこそ東南アジア系の出稼ぎ労働者が多いんですけど、当時は外国人を見かけることなんてほとんどなかった。そんな彼女が日本語を教えてくれるということで、僕も何ヵ月か教会に通いましたよ。教義自体にはまったく興味もなかったですけど(笑)。  今考えると、彼女も不安だったと思うんですよね。全然勝手がわからない異国の土地に連れてこられて、統一教会系の企業で働かされていましたし。それもほぼ無償で、ボランティア状態だと言っていた。果たして今はどこで何をして過ごしているのか、たまに思い出して切なくなります」  オ氏は「旧統一教会=悪の宗教=韓国」といったイメージが日本で広まり、復調の兆しを見せていた日韓関係が再び悪化することを懸念している。韓国の世論が旧統一教会を支持しているわけでは決してないし、相手にもされていないのが実情だと繰り返す。 「たしかに統一教会は韓国で生まれた宗教団体です。でも韓国国内で表立った布教活動ができないものだから、途中から日本を中心とした海外で組織を拡大させていった印象があるんですよ。そのへんはLINEと似ているかもしれない。LINEも韓国企業が作ったんだけど、すでに類似サービスのカカオトークが普及していた韓国国内ではまったく浸透しなかった。そのLINEが日本を含めたアジア諸国で爆発的に広がっていき、韓国人はビックリしたんですよね」  日本人から莫大な資金を吸い上げている旧統一教会側からすると、霊感商法が社会問題化した80年代と同様、社会から猛批判されている現状は由々しき事態。この批判の波が韓国にまで届いたら、たまったものではないだろう。旧統一教会の韓国国内での動きにも注視していきたい。
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