更新日:2022年08月25日 16:27
エンタメ

7月期ドラマ“コア視聴率”BEST10。テレビ局が一喜一憂する勝ち組作品は

高齢者に人気の番組は世帯視聴率が高い

番組公式ホームページより

 7月期ドラマが佳境を迎えつつある。それぞれの連続ドラマの視聴率が評価とイコールでないのは書くまでもない。それでも自分の好きな連ドラの視聴率が気になる人は少なくないのではないか。  視聴率は大きく分けて3つある。まず昭和期に生まれた世帯視聴率。「全体の何割の家がその番組を見ていたか」を表す。見慣れているが、1人世帯も5人世帯も同じ1世帯でカウントしてしまうという弱点がある。家族のうち何人が見たのかも不明だ。無論、見た人の性別、年代も分からない。    そのうえ日本は人口の約6割が50歳以上で、しかも年齢の高い人ほどテレビをよく見るから、世帯視聴率は年齢の高い人が好む番組ほど上がってしまう傾向が強い。  20代の平日1日のテレビの視聴時間は約1時間13分に過ぎないが、50代は約3時間15分も見る。60代、70代はもっと見ている(2020年・総務省調べ)。  このため、現在は民放もスポンサーも世帯視聴率は実務に使わない。新たな物差しは一昨年3月から全国で調査が始まった個人視聴率。これが2つ目の視聴率だ。  個人視聴率は見ていた人の性別、年代(13歳~19歳、20歳~34歳、34歳~49歳など)、役割(主婦など)などが分かる。ここまで細かいデータが出るようになったら、世帯視聴率を使わなくなるのも無理はない。

テレビ局が重視するコア視聴率とは?

 新聞・雑誌に掲載される個人視聴率は正確に言うと個人全体視聴率。「4歳以上全体のうち、どれくらいの割合の人がその番組を見たか」を示す。個人全体視聴率のうち、13歳から49歳までを切り取ったのがコア視聴率。切り取る年齢層がやや違う局もあるが、カネをよく使い、スポンサーが歓迎する世代をターゲットにしている点は一緒。これが3つ目の視聴率であり、現在の民放が最も重視する。  ダウンタウンの松本人志(58)は昨年6月に放送されたTBS『キングオブコントの会』の世帯視聴率が低かったと一部で報道されると、ツイッターで「いつまで世帯視聴率を記事にするんだろう?」と疑問を投げかけた。さらに「(この番組は)コア視聴率が良かったんです。コア視聴率はスポンサー的にも局的にも世帯視聴率より今や重要な指標なんです」と内情を明かした。この言葉に偽りはなかった。  それから約1年。高齢者斬り捨てとも受け取られかねないコア視聴率重視が正しいのかどうかは別とし、連ドラも大半がコア層に向けたものになっている。  好例はまず新人自衛官の友情や恋を描いたフジテレビ『テッパチ!』(水曜午後10時)。さらに織田信長ら戦国武将たちがクローンとなって蘇り、高校内でトップの座を争う『新・信長公記』(日曜午後10時半)である。両ドラマが60代、70代、80代をターゲットにしているとは誰も思わないはずだ。こういった若い世代向けの作品は世帯視聴率が低くて当たり前なので、局側は全く気にしない。  毎日新聞は毎週、世帯視聴率を基にした番組のランキングを掲載する。朝日新聞は個人全体視聴率と世帯視聴率を併記したランキングを載せている。だが、今回は松本の言う通り、各局もスポンサーもなにより重視するコア視聴率を基にしてランキングをつくってみたい。
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上位3作品、1位はTBSドラマ
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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