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崎陽軒のシウマイ弁当が“駅弁の雄”になるまでの紆余曲折「横浜駅は駅弁に不利」

シウマイ弁当の理想は800kcal

シウマイの折り詰(昭和3年)

 シウマイのみを折り詰めにして販売していたものから、幕内風のシウマイ弁当にすることで、さらに認知を広げていった崎陽軒。現代では当たり前になったが、当時としては珍しく、栄養面への配慮もして開発された。そして実は、消費者の声を元に発売からこれまで変化を繰り返しているという。 「おいしさだけでなく栄養も考えるべきということで、理想を800kcalに設定、ごはんとおかずのバランスがとれたラインナップにしています。シウマイが名物ですしメインなのですが、鶏の唐揚げがエビフライになったり、あんずがさくらんぼになったりと、他のおかずもお客様の声を聴きながら少しづつアップデートされています」

マグロ→鮭の変更は“怪我の功名”?

 もっとも最近のアップデートが2003年だという。つまり、ここ20年ほどは内容に変化がなく、山本さん曰く、これがほぼ完成形なのではないかとのこと。  しかし、ベストメンバーの一角である「鮪の漬け焼」をコロナ影響による物流の混乱が襲った。マグロの安定供給が見込めず、一時的に「鮭の塩焼き」に変更されたのだ。  それでも世間は、今しか食べられないシウマイ弁当を求め殺到し、品薄状態となった。崎陽軒にとっては”怪我の巧妙”であったようにも思えるが、山本さんの回答からは、本来のベストメンバーへの信頼が垣間見えた。 「崎陽軒としては、本来のシウマイ弁当を提供できないことが、申し訳ないという気持ちです。売り場の様子を昨日(8/19)見にいったんですが、行列ができておりました。今は、鮭のシウマイ弁当も、お求めになる皆さんすべてのご要望にお応えできず、申し訳ありません」
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前年同月比6割ダウンの苦境に際して
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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