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崎陽軒のシウマイ弁当が“駅弁の雄”になるまでの紆余曲折「横浜駅は駅弁に不利」

前年同月比6割ダウンの苦境に際して

崎陽軒

崎陽軒のロードサイド店舗

 期間限定が話題になったことで、シウマイ弁当は多くの人に愛されていることがわかった。しかし、コロナ影響によって旅行が制限されたここ数年は、駅弁の雄とも言うべき崎陽軒でさえ、苦労を強いられており、前年比6割ダウンという月もあったという。そうした苦境を、崎陽軒はどのように打破してきたのか。 「まず通信販売のラインナップを拡充しました。それから、元々やっていた配達に力を入れました。無料配達のエリアを拡充して、より多くの方に”おうち時間”で召し上がっていただけるようにという思いです」  ここまでは、多くの企業がやってきたことにも近い。その中で崎陽軒は、さらなる一手に出ていた。 「移動が制限された時期は、駅などでお客様を待っていても来ていただけないので、私たちからお客様の方へ出向こうと、幹線道路沿いに出店していくことにしました。コロナ禍で15店以上のロードサイド店舗をオープンさせています」

コロナ禍から未来へ

 これまであった駅構内の売り場では、電車の発車時刻を気にしながら買い物をすることも多かった。しかし、ロードサイド店舗となるとそうしたことも少なく、ゆっくりと商品を吟味することができる。また、それ以外にもロードサイド店ならではの特徴があると、山本さんは言う。 「広い敷地が確保できるので、様々な商品を展開できるようになりました。お店に冷凍庫が置けるので、冷凍商品を販売したり、シウマイ弁当クッションなどのグッズも販売して、崎陽軒の全てを楽しんでいただけると思います」  名物の開発から、売れ行きが伸びず苦労した時期など、紆余曲折を経て、横浜の定番になった崎陽軒。コロナ禍を経験し、この先どのように進んでいくのか。横浜から全国へ展開していく予定など、展望を聞いた。 「ローカルブランドに徹することを掲げているので、地域が広がることはありません。どこでも買えてしまうと、お土産としてせっかくお持ちになられた方をがっかりさせてしまいます。過去に、真空パックのシウマイを地方のスーパーなどで販売していたんですが、それも撤退しました。その一方でシウマイを使った地域創生に力を入れていきたいと考えております」  盤石に見える名物でさえ、その歴史を見ると山あり谷ありであることが伝わってくる。そうした歴史を知った上で「シウマイ弁当」を食べると、違った味わいを感じることができるかもしれない。<取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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