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未使用の「古くなった充電池」はいつまで使えるのか。新品と放電量を比較検証してみた

新品と長年保管していた未使用電池で比較検証してみた

 では早速比較グラフを見てみましょう。  比較したのは、初期モデルの「SANYO eneloop」と新品で購入してきた「Panasonic eneloop」です。SANYO eneloopは筆者が所有しているほぼ未使用品で、長年保管されていた物です。  どちらも無作為に10本ほど抽出して平均値を取ってみました。
放電グラフ

エネループ放電グラフ。赤色が第4世代、青色は初期モデル。 
※放電は1A放電にて。今回は公平的な試験を行うため、初期モデル・第4世代共に満充電になるまで充電した後、放電特性を測った

 放電開始から10分までは、どちらも似たようなグラフですが、やはり若干の劣化が見られ、放電電圧も初期eneloopの方が低めです。10分を経過した辺りで初期eneloopにはメモリー効果が発生しているようで、大きな電圧降下が見られます。  やはりeneloopと言えど長期間保存では、メモリー効果が顕著にあらわれ、結果に出てしまっているようです。

リフレッシュ機能付きなら問題なく利用可能

 とはいえ、メモリー効果はリフレッシュにより、ある程度復活させることが可能なので問題はありません。  実際に初期eneloopをリフレッシュさせてみると、現行のeneloopと似たような放電特性が見受けられます。第4世代までの細かな進化や保存状態、経年劣化などもあるので全く同じとまではいきませんが、古いeneloopでも一般的な用途で利用する場合には問題なく利用ができそうです。
エネループ

初期モデルエネループに適切なリフレッシュを行ったところ、メモリー効果はしっかり取り除かれた

 残念ながら、リフレッシュ機能付きeneloop用充電器は現在では販売されていません。  しかし大手通販サイトなどでは、リフレッシュ機能を兼ね備えた充電器も販売されています。  安全にリフレッシュを行うならこういった充電器に付属する放電機能を使うほうが良いのですが、懐中電灯などで電池が切れるまで使い(ただし過放電には気をつける)、しっかりと放電特性をつけ直してやる方法もあります。  とはいえ、やはり古い充電池を使うのは抵抗がある……なんて人は、防災週間で自宅の備品を見直し、新しい充電池に買い替えても良いかもしれませんね。 文/板倉正道
テクニカルライター。三才ブックスのマニア誌『ラジオライフ』にてガジェットや分解記事を執筆。買ったら使用前に分解するのがライフワーク
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