スマホの使いすぎで“顎関節症”が増加。セルフチェックと対処法も【医師監修】
現代社会で生活するには欠かせないアイテム、スマートフォン。便利に楽しく過ごすためのものではあるものの、スマホの影響で体に変調がでる人も増えている。その中のひとつが「顎関節症」。なぜスマホ生活で顎関節症が増えたのか、症状が悪化するとどうなるのか。さらに、治療法や予防はどのようになっているのか。顎関節症に詳しい石本歯科クリニックの石本光則院長に聞いた。
スマホの長時間使用により、指が変形してしまう「スマホ指」などは耳にすることがあるが、スマホ使用と顎関節症の関連性が素人の私たちには見えてこない。まず、実際にそうした患者が増えているのか。石本院長は次のように話す。
「スマホの普及に伴って『食いしばり』が増加しました。歯科的な視点で言え、それによって、歯が欠けるなどの事例とともに顎関節症も増えたというのが、正確かもしれませんね。実際、当院でも、顎関節症の患者さんが週に数十人はいらっしゃいます。初診の方も多いことから増加しているということがわかりますね」
しかし、一見無関係に見えるスマホの使用による顎関節症がなぜ増加しているのだろうか。
「もともと、人間は通常の姿勢でいると上の歯と下の歯は触れ合うことは少ないんです。それを長時間くっつけてしまっている人が多いんです。通常であれば、上の歯と下の歯が触れ合っている時間は1日15分くらいなんですが、今はそれが極めて長時間になってしまっています」
実際に正面を向いていれば、確かに上下の歯が触れ合うことがない。しかし、座った姿勢でスマホを見ようとすると下を向くことになる。すると、上下の歯が触れ合っているのがわかるだろう。
では、顎関節症になってしまった場合、どのような症状が出るのかも気になるところ。これについて石本院長に聞くと、狭い意味で顎に出る症状と広い意味で顎以外の部位にも影響が出る場合の両方があるそう。
「まず、狭い意味で顎に出る症状としては、口が大きく開かなくなります。また、『クリック音』と呼ばれていますが、噛む動作をするするたびに顎の付け根からカクカクと音がなるという症状もあります。さらには、顎に痛みが出る場合も少なくありません」
痛みが出てしまえば別だが、口が大きく開かなくなったり、クリック音がする程度では、食事がしにくくなったり、滑舌が若干悪くなる程度の影響のため、「病院に行くほどではない」と考える人もいるだろう。もし、そうした症状を放置して、顎関節症がひどくなった場合、顎以外にも影響が出る広い意味の症状があるというが、それはどんなものなのか。
「多いのが、頭痛と肩こりです。特に頭痛はとても多いですね。顎関節症が原因だと気付かずに、単に『私は頭痛持ちだ』と勘違いしている方もかなりいらっしゃいます。そういった方は、内科などで検査しても原因がなかなか見つからず、痛み止めを処方されるだけということもあり、長く頭痛に苦しんでいらっしゃいます」
口が開きにくくなる症状は、徐々に発生することもあり、顎関節症は本人が気づかないうちに進行していて、それが頭痛や肩こりを引き起こしているということだ。
「内科でどんなに検査しても頭痛の原因が特定できなかった方が、当院を探して来ることも増えました。他にも、耳が痛くて耳鼻科に行ったけど治らなかった方が、当院に来られることもあります。そうした方々が顎関節症の治療で、頭痛や耳の痛みがなくなりました。それだけではなく、顎関節症は、ひどい時には腕から手にかけての痺れなども引き起こすこともあります」
現代病とも言われる頭痛や肩こりは、辛く感じていながらも、ストレスや疲れなどに安易に結びつけてしまいがちだ。しかし、こうした話を聞くと顎関節症を疑ってみるのも一つの手かもしれない。
「スマホ顎関節症」が増えている
顎関節症って怖い?
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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