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身体を売ってもホストに貢ぐ“ホス狂い”の実態「担当に“使う”ために働く」

 近年、TwitterなどのSNSでは「ホス狂い」という言葉を目にする機会が増えた。ホストに狂っている、ハマっている女性のことだが、“担当”(指名しているホスト)への愛や憎しみだけではなく、なかにはそれをアイデンティティとして“誇示”するようなアカウントまで見られる。  風俗で働くなどしてホストに大金を貢ぐ女性は古くから存在していたが、どこか様子が変わってきている。今回は、『ホス狂い』(鉄人社)の著者である大泉りかさんに、彼女たちの実態を語ってもらった。(記事は前後編の前編)

現代のホストにハマる女性“ホス狂い”とは何なのか?

大泉りか

『ホス狂い』著者の大泉りかさん

——官能小説や女性向けポルノノベル、女性の生き方をテーマにしたエッセイなどを中心に活躍する大泉さんですが、今回が初のルポルタージュとのことで。執筆の経緯や企画意図から教えてください。 大泉:最初の動機としては、鉄人社の編集者からオファーがあって。テレビで金持ち自慢をするホストを見て「これってぜんぶ女の子から搾取したカネじゃん?」と思ったらしく、そのあたりの構造について取材してほしいと。 ——世間では、ホス狂い=ホストに人生を狂わされた被害者という取り上げ方が多い印象です。 大泉:ただ、私の中では“女性が搾取されている”というストーリーに違和感がありました。ホストに貢ぐ彼女たちのお金が風俗やパパ活で稼いだものだとしたら、弱肉強食のピラミッドとしては、その下におじさんたちがいるわけで。そんなに単純ではないだろうと思いました。  また、平成の第二次ホストブームでは、強引にお金を使わせるオラオラ系ホストが多かったと思いますが、現代のニコニコしたカワイイ系の大学生みたいな雰囲気のホストが、そんなに悪魔的なことをしているのかな? という素朴な疑問もあって。もちろん、本当に女の子を潰す気で貢がせるホストもいるのでしょうけど、もっと緩い雰囲気を感じていたんです。

「24時間コミットしてもらう」ホストとホス狂いの“共依存”関係

——そもそも今のホス狂いと呼ばれる女の子たちのホスト遊びとは何かを理解することが難しい気がします。 大泉:ホストクラブに飲みに行くこと=ホスト遊びというのが一般的な認識だと思います。でも、それだけじゃなくて。“担当”という自分が指名するホストに、メンタルをケアしてもらい、彼氏のような役割を担ってもらうことが、ホス狂いのホスト遊びなんです。  ホス狂いのホスト遊びは夜の街では完結せず、プライベートも含めたすべての面でコミットしてもらう。当然、ホストも大金を入れてくれる太い客にはしがみつきたいので、“共依存”の関係ができあがります。 ——疑似恋愛ビジネスは様々ありますが、公私の境界線が曖昧なところが、近年のホスト遊びの大きな特徴なんですね。 大泉:お金さえ払えば、ホストはLINEや電話で24時間連絡できる。普通の男性よりも自分に尽くしてくれる可能性が高い。もっともホストもそこまでプロではなく、どんなにお金を払っても他の子が優先されてしまう場合もあります。そうなると余計にメンタルが荒れてしまい、さらにホストが必要になって……悪循環に陥ってしまうことも。
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「担当に使うという目的があるからこそ働ける/働く気が起こる」
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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ホス狂い
ホス狂いと呼ばれる女性の多くはデリヘルやソープ、パパ活などで稼いだお金をホストに注ぎ込んでいる。担当に請われるまま数百万のシャンパンタワーを入れ、時には売掛まで作る姿は、痛ましい。しかし、彼女たちがホストにダマされ、搾取される被害者に見えるとしたら、それは少し現実とは違う。むしろ彼女たちは、自分たちが営業されている=金銭が介在した関係と知りながら、ホストに課金し続けるのだ。果たして彼女たちはなぜ、ホストに狂うのか。
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