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日本が「メタバースの最先端」にいる理由とは?世界最大のVRイベント仕掛け人が語る

日本はコンテンツを創り出すことに長けている

パーティクルライブ「KING」

Reimhakさんが制作した、パーティクルライブ「KING」。パーティクルライブとは、楽曲に合わせて歌詞や演出が縦横無尽に飛び交う、バーチャル空間特有の音楽表現。

 急成長するメタバース産業の未来を考える時、「プラットフォームに、どうやってユーザーを囲い込むか」という競争に目が行きがちだ。しかし、フィオさんはそのプラットフォームに乗せるコンテンツを充実させることに注目している。 「ゲーム機でも、ハードの性能がよくてもキラーコンテンツがなければ盛り上がりません。まだまだメタバースにはコンテンツが圧倒的に少ない。これからめちゃめちゃ作っていかないといけないんです。  ハードとソフトの両輪が必要なんです。日本はこのソフト面、つまりコンテンツを創り出すことに長けているわけです。メタバースでも日本のクリエイターは海外に作品を輸出することができるはずです。それに今後はメタバースのプラットフォームも、企業やプロだけではなく誰もが創り出せるようになっていきます」

メタバースに入るためのハードルをできるだけ下げていく

スマホからでも起動することができるVketCloud

スマホからでも起動することができる「Vket Cloud」

 PCがあって通信環境さえ整っていれば、今の時代は誰でも自分のウェブサイトを作ることができる。しかし、肝心なのはそこに乗せるソフトである。そこでHIKKYでは「プラットフォーム作成エンジン」のVket Cloudというシステムも開発しているという。 「今、バーチャル空間に入ろうとすると、アプリをダウンロードして、アカウントを作らなければならないことが多いですよね。だけどこれをハードルと感じる人も多いはずです。そこで、ブラウザからバリアフリーで入れるシステムを開発しているんです。  ツイッターのリンクからいきなりメタバースに入れることができれば、もっとメタバースは広がっていくでしょう。それで自分のウェブサイトを持つように、誰もが自分のホームメタバースを持てるようにするんです」  このような動きは「オープンメタバース」「メタバースの民主化」と呼ばれることもある。結局は、ユーザーの利便性第一でサービスを構築していく姿勢が、メタバース業界でも勝利の方程式になっていくのだろう。 取材・文/楠木春樹 ライター 【動く城のフィオ】 世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」創設者。株式会社HIKKYのCVO(Chief Virtual Officer)。2018年2月、バーチャル空間に転生してアバター姿で活動開始。バーチャル空間に出会う前は、うつ病と対人恐怖を患って引きこもる生活を送っていた。現在も外出は苦手。バーチャルで生きていくためにバーチャル空間に経済圏を作ることを目指している。二児の父。9月18日に『メタバース革命 バーチャル経済圏のつくり方』(扶桑社)を上梓。
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メタバース革命 バーチャル経済圏のつくり方

「メタバースで生きていく」という新たな選択肢。どんな仕事が生まれ、どんな技術が必要なのか。急成長するバーチャル経済圏の現在を伝える。

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