更新日:2022年10月14日 13:13
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ビザなし入国措置で日本人観光客急増の韓国で、古代朝鮮「加耶」王国史跡めぐりのススメ

加耶の最盛期、「大加耶」の王都を歩く

【3日目】高霊(池山洞古墳群と主山城)
池山洞古墳群と主山城(右下の白い建物が博物館、ドームは王陵展示館)

池山洞古墳群と主山城(右下の白い建物が博物館、ドームは王陵展示館)

 大邱の地下鉄で、1号線の聖堂池駅に向かう。駅の近くの大邱西部停留場から、高霊行きのバスに乗る。バスはだいたい1時間に1本、40分ほどで高霊の市街地にあるバスターミナルに到着する。古墳群周辺には食堂はないので、早めの昼食を済ませておきたい。ターミナルから徒歩で西南へ15分、あるいはタクシーで5分ほど、高霊池山洞古墳群と主山城、そして大加耶博物館に到着だ。  高霊は、5世紀に入って急速に勢力を広げた「大加耶」の王都であり、その王や王族、貴族などが葬られた墓地が池山洞古墳群である。王城とされる主山城からつづく尾根筋に王陵群が営まれている。丘陵斜面の中小の墓もあわせると、700基あまりが確認されている。  まず大加耶博物館の展示で古墳群の概要を押さえて副葬品を鑑賞し、古墳群の地図も手に入れておきたい。見逃せないのは王陵展示館である。発掘調査によって王陵の全貌が明らかとなった44号墳の実物大模型を展示している。中心に葬られた王を取り囲むように、王の死とともに殉死した30人以上の人びとが葬られている状況、そしてその荘厳な雰囲気に気圧される。

百済・新羅とのはざまで滅亡を迎える

池山洞47号墳から出土した飾り大刀

池山洞47号墳から出土した飾り大刀

 古墳群と山城の一帯は自由に見学できる。ちょっとした山登りになるけれども、尾根筋の王陵群や主山城の頂きをめぐり、できれば尾根を縦走してもらいたい。歴史的な景観を堪能できるはずだ。おそらく見学が終わるのは夕刻だろう。高霊から大邱へのバスは遅くまであるので心配はいらない。  池山洞古墳群の壮大さからもわかるように、大加耶は5世紀後半に飛躍的な成長を遂げる。加耶諸国の中で唯一、中国に使者を派遣するまでになる。しかし6世紀に入ると、百済と新羅という強国のはざまで徐々に勢力が弱まり、ついに562年滅亡を迎える。ここに加耶の歴史は幕を下ろした。    以上が、加耶の史跡めぐりのコースプランである。都市や名所をめぐるツアーとはまた別に、古代朝鮮の歴史や風土を満喫できるはずだ。 文・写真/高田貫太
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【国際企画展示「加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―」】
開催期間:2022年10月4日(火)~12月11日(日)
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A
料金:一般1000円/大学生500円
※高校生以下は入館料無料
開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時00分まで)
休館日:毎週月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌日休館)
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