更新日:2022年11月05日 19:36
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ニューヨーク在住の記者が日本で感じた違和感「マスク着用義務はないのに」

成田空港からノーマスクで入国、都内を動き回る

9月30日の丸の内地下街1

東京・丸の内地下街(9月30日撮影)

 筆者は9月26日、ニューヨークから成田に到着。飛行機内ではほぼ誰もマスクをしておらず、日本の航空会社運行であっても添乗員からの注意はない。成田空港のマスク着用率はほぼ100%。しかし誰にも注意されることなくノーマスクで空港の外まで通過した。そして新宿行きのバスに乗るが、ここでも注意はなし。都内のホテルでのチェックイン時にも注意はなかった。その夜、新宿の飲食店を3軒まわったが、そこでもマスク着用の注意はなかった。夜の新宿ではノーマスクの人をちらほら見かけたが、それでも屋外でのマスク着用率は相当高い。
9月22日グランドセントラル駅

ニューヨーク・グランドセントラル駅(9月撮影)

 次の日(安倍晋三首相の国葬の日)、飲食店や、赤坂までの電車移動、街歩き、タクシー移動などすべてノーマスクだったが、誰にも注意されることはなかった。電車では音声アナウンスで「ご協力をお願いいたします」とマスク着用をお願いされることはあったが、駅員に道案内をお願いしても注意されることはなかった。  都内のカフェではまるで「ロボット音声」のように、入店時にマスク着用を促す声が店員からあったので、すぐに店を出た。小さな店だったので2メートル先では客同士がノーマスクで談笑していたが、入店時には必要とのことだった。  数日後の午後4時、都内の焼肉店では、客が誰もいないのに3メートル先の席に着くまでマスク着用を求められた。その焼肉店には同伴者がいたので店を出ることはなかったが、筆者1人であれば入店しなかっただろう。日本人はこういうやり取りは慣れているだろうが、これから押し寄せる外国人観光客に「義務でもないのに、なぜマスクをしなければならないの?」と問われれば、困ることになるだろう。

マスク着用の根拠は厚生労働省のリーフレット

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日本では、屋内・屋外問わずほぼマスク着用率100%

 次に、とあるカメラメーカーの展示場に行った際にもマスク着用を求められた。カメラレンズについて70歳くらいのスタッフから15分ほど説明を聞いていると、唐突に「失礼ですがマスクはお持ちでしょうか?」と尋ねられたのだ。ノーマスクチャレンジとしてはここでゲームオーバー。日本滞在4日目だった。急いでポケットからマスクを取り出して着用した。  そのスタッフによると「マスク着用は東京都のガイドラインに従っています」とのことだった。調べてみると、その東京都の「ガイドライン」は厚生労働省の「リーフレット」に従っているらしい。どうやら行政間で責任の押しつけ合いをしているようだ。日本の行政は、何かをごまかしたいときや根拠が弱い場合「リーフレット」のようなカタカナ英語を多用する傾向にある。  厚生労働省のリーフレットには、いろいろな場面にイラストをつけて「マスク推奨」「マスクを着用しましょう」という言葉が並んでいた。もちろんどこにも法的根拠はない。法律に抵触しそうなのは、温泉施設などでの「刺青お断り」のように、ノーマスクの客を拒否する「施設管理権」くらいだ。感染症対策基本法第4条には「感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない」ともある。  こうした無責任社会の末端で起きているのが、カメラメーカーの展示場で筆者がマスク着用を求められた例などだ。法律を「守っている」国民としては迷惑な話だが、現在の日本では、こうした法ではなく「ルールという名の空気が支配する」社会になっている。  マスク着用の有無に関しては個人が判断することで、現場での議論は不要だ。個人の知識の差もあるし、それぞれが楽しく過ごしている中でギスギスするのは馬鹿げている。SNSなどで場所や人(民間)を特定することもやめたほうがいい。
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ニューヨークも日本も、ノーマスクは法律違反ではなく罰則もない
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ジャーナリスト、ニューヨーク在住。その他ビジネスに携わる。現代ビジネスほか、The Tokyo Postでも「リベラルな街から」を連載中。

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