仕事

「日本人は賃上げを要求できない」残酷な現実。現役金融マンが苦言

実績を上げるには、どうしても自己学習が必要

 企業には賃上げを強く願うところですが、そもそも賃金の上昇は、個人の能力に左右されるべきものです。同じ会社に勤務していても給料に差が出るのは当たり前の話であり、同期入社であっても徐々に差が開いていくのはどこにでもある話でしょう。  能力を高めるには実務経験を数多くこなすのが一番ですが、自己学習を行うことも重要です。  学習により知識を高め、より高度な仕事をこなす。またはこれまでの仕事の生産性をあげる。レベルの高い仕事をして実績を上げるには、自己学習がどうしても必要です。  では、我々日本人は実際にどれくらい自己学習をしているのか? 総務省が実施した、「令和3年社会生活基本調査」によれば、会社員(被雇用者)が1日のうち学習・自己啓発・訓練にあてている平均時間は、なんと7分です。  私たちは、1日に7分しか自己学習していないのです。7分ですよ? その程度の時間で、成長などできるのでしょうか? できるわけがありません。  我々は賃上げを望みながら、自主的にほとんど学習をしていません。もし、あなたが経営者であったなら、「給料を上げろ!でないと生活できない!」と叫び要求する一方で、自分の価値を高める努力をほとんどしない従業員たちを見て、どう思うでしょうか? 「なんて厚かましい」。それ一択でしょう。

国は「個人の成長への支援」を提言

 コロナ禍やロシアのウクライナ進行という教科書に記されるほどの歴史的惨禍が起こり、その余波でこれから不況に巻き込まれる可能性が高いにも関わらず、能力を上げるための努力をほとんど行わない。そんな私たちは、本当に賃上げに相応しい存在なのでしょうか? とてもそうは思えません。  文句を言う前に、あなたは学習を開始すべきです。そのほうが気持ちいい。  先ほどの自民党の提言には、「いまだかつてない『人への投資』を実現する必要がある」とあります。そのなかで「リスキリングに対する支援の拡充」と書かれています。  経済産業省はリスキリングの定義を「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」としています。  簡単に言えば、能力を獲得・拡張してより価値の高い人材にすることでしょう。学習にあたってどのような支援を受けられるかはわかりませんが、何らかの補助などを受けられる可能性は高そうです。 「国策に売りなし」は株の格言ですが、国が個人の成長を支援するのであれば、これに乗らない手はありません。
次のページ
「学習しない国」で勝つのは難しくない
1
2
3
金融機関勤務の現役課長、46歳。本業に勤しみながら「半径5mの見え方を変えるnote作家」として執筆活動を行い、SNSで人気に。所属先金融機関では社員初の副業許可をとりつけ、不動産投資の会社も経営している。noteの投稿以外に音声プラットフォーム「voicy」でも配信を開始。初著書『銀行マンの凄すぎる掟 ―クソ環境サバイバル術』が発売中。Xアカウント (@nekoyamamanager

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ