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「無駄な馬券を買わずに済む方法」を競馬誌元編集長が伝授

子供の運動会で実感するトラックバイアス

競馬

「最初のコーナーまでの距離」は内外の有利不利と大きく関わっている 
写真/橋本健

 「競馬ファンあるある」に、「子供の運動会を、つい馬券と関連付けて見てしまう」というものがあります。  代表的なものは、俊足の子が雨でぬかるんだ校庭に足を取られているのを見て「道悪は苦手か」、小回りトラックで外からの追い抜きが決まらないと「捲りは能力差がないと決まらないな」、スタート直後にコーナーを迎えるコースレイアウトをみて、「ああ、これは内枠有利だな」など。  先日、我が子の運動会を見に行った際も、スタート直後にコーナーのあるトラックで競技が行われていたため、内側の子が大活躍をしていました(もっとも、昨今の運動会は「競い合うのではなく楽しむもの」がコンセプトだと思うので、勝敗にこだわる必要はないのでしょうが)。  競馬には、さまざまなバイアス(偏り)が生じます。その際たるものがトラックバイアス、つまりコースによる偏りです。そして、その偏りを生む一つの大きな要素が最初のコーナーまでの距離。ゲートを出てから最初のコーナーまでが長いか短いか、です。  初角までの距離がどのようなバイアスをもたらすのか。一言で表すと「初角までの距離が短いほど内枠有利」になります。  先行争い・ポジション争いは最初のコーナーまでに決着がつくので、そこまでの距離が短ければ、外の馬は前半からトップスピードで飛ばして内に切り込んでいかねばなりません。そこまでしても、すぐにコーナーがくるので、内の馬がコーナーワークを利して行き切るケースが多くなるわけです。  逆に最初のコーナーまでの距離が長いと、それだけポジション争いが長引くのでペースが速くなります。ポジションを決めるまでの時間的猶予も生まれるので、外の馬でも内に入れるチャンスが生じるため、相対的に内のアドバンテージが薄れるのです。

東京芝2000mは初角までの距離が短く内枠が圧倒的に有利

 まずは初角までの距離が短いコースをいくつか挙げてみましょう(今回は芝のみ)。 代表的な初角までの距離が短いコース(芝のみ) 東京芝2000m(126m) 東京芝1800m(157m) 札幌芝1500m(170m) 中山芝2500m(192m) 中山芝1600m(240m) ※短い順ではありません。( )内が初角までの距離  芝コースで最も初角までの距離が短いのが東京芝2000m。先日、天皇賞(秋)が行われたコースです。  1コーナー奥のポケットからスタートし、すぐに初角となる2コーナーを迎えるため、外枠は非常に不利。実際、天皇賞(秋)では五分のスタートを切った2枠3番パンサラッサがコーナーワークを利してハナを奪い切り、大逃げに持ち込んであわやの場面を作りました(7番人気2着)。パンサラッサはテンのダッシュ力にやや欠けるので、外枠だったら2コーナーまでにハナを奪えなかったかもしれません。  また、同じ内枠でも、初角まで長いコースだったら、外の先行馬に前に入られていたかもしれません。東京芝2000mの内枠で五分のスタートを切れたからこそ、あの逃亡劇が生まれたのです。  有馬記念が行われる中山芝2500mも初角までの距離が短く、内枠有利・外枠不利として知られているコース。有馬記念の公開抽選会で、外枠をひいた関係者が落胆する様子は、一種、年の瀬の風物詩となっています(笑)。
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初角までの距離が短いコースを知れば競馬は勝てる
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馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
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