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恋愛ドラマ『silent』から意外な注目作まで。テレビマンが評価する“秋ドラマ”中間採点

繊細な恋愛ドラマなのに考察が白熱する『silent』

 最初に聞いたのは、キー局でドラマを手掛けている40代プロデューサーのA氏。開口一番で話題の恋愛ドラマについて熱く語った。また、今回取材を試みた業界人が全員、この作品を注目作に挙げていた。 「今クールは何といっても『silent』(フジテレビ系、木曜午後10時~)でしょう。内容は、川口春奈さん演じる主人公の紬が、かつての恋人で徐々に耳が聞こえにくくなる病気を患う目黒蓮(Snow Man)さん演じる想と再会したことから始まるラブストーリー。  こう聞くと一見ベタなドラマですが、リアルなセリフ回しや登場人物の会話のシチュエーションが繊細で練りに練られている。新人脚本家・生方美久さんの起用を不安視する声もありましたが、初の連ドラとは思えないほどのクオリティーに業界人が驚愕しています。  滑り出しこそ微妙でしたが10代~20代女性を中心にSNSで評判となり、第4話の見逃し配信は688万再生を獲得。ツイッターでも世界トレンド1位になるなど、リアルタイム視聴もしっかり伸びており、見事としか言いようがない。  恋愛ドラマにもかかわらず、些細な会話やドラマ内で登場する楽曲やアイテムからさまざまな“考察合戦”が生まれているのも非常に特徴的。昨今、ミステリーやサスペンスドラマの打合せでは『考察が盛り上がるモノを!』をテーマに伏線を多く張るように作っているのですが、まさか恋愛ドラマでもできるとは……。新たな発見になりました。そう簡単にできそうにないですが(苦笑)」
silent

※画像は、ドラマ「silent」の公式Instagram(@fujitvsilent_fujitv)より。フォロワー数は100万人を突破

 若い感性によって描かれるリアルな恋愛ドラマが、来クール以降増えていきそうだ。

痛快な展開がクセになる『ザ・トラベルナース』

 さらに、A氏はもう1作欠かさず見ているドラマを挙げてくれた。 「3話が12.6%と高い視聴率をキープしている、岡田将生さんがフリー看護師として医療現場に立ち向かっていく『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)ですね。勧善懲悪モノを書かせたら右に出る者がいない『ドクターX ~外科医・大門未知子~』で知られる中園ミホさんの脚本が、今回も非常に痛快。二転三転する展開もよく作られており、飽きずに見られるドラマですね。  岡田さんの高飛車な演技も素晴らしいですが、ベテラン看護師・九鬼を演じる中井貴一さんのまくしたてるような広島弁でのセリフは圧巻。等身大の人物像が魅力的な『silent』とは真逆で、登場人物のクセの強さが見どころの“ドラマらしいドラマ”ですよ」  古くは『水戸黄門』(TBS系)に始まる勧善懲悪ドラマは、令和を迎えても永久に不滅のようだ。
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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