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森保JAPAN、負傷者続出で立ち込める暗雲。W杯本戦では新星に期待が

W杯に挑む26人のメンバー発表

写真右から田嶋幸三会長、森保一監督、反町康治技術委員長

 11月20日に開幕する「FIFAワールドカップ2022 カタール」までおよそ1週間となった。11月1日には東京都内のホテルにて日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長、反町康治技術委員長、森保一監督が会見を行い、その本大会に挑む26人のメンバーに招集した選手を発表した。  このメンバー発表後には、予選突破に貢献した大迫勇也(ヴィッセル神戸)、原口元気(ウニオン・ベルリン)、そしてスコットランドで得点を量産している古橋亨梧(セルティック)らが招集外となったことで賛否両論の声が挙がっている。その選択の良し悪しは結果が出るまで分からないわけだが、このメンバーから森保監督が思案した本大会の戦い方が見えてきた。森保監督は以前より「選手が変われば戦術も変わる」と主張し、個の特徴を生かしたサッカーを目指してきた。そのフィロソフィーのなかでドイツ、コスタリカ、スペインにどうやって勝つかを考えた結論が、ハイプレスによるショートカウンターを理想のゲームプランとしたのだろう。

戦術の中心は遠藤航

 9月に行われたアメリカ戦のような戦い方と思ってもらえれば想像しやすいと思う。相手の最終ラインに対して余裕を与えるのではなく積極的にプレッシャーをかけていき、できるだけ相手のゴールに近い位置でボールを奪い取ることを守備の理想とする。そして、そこで奪ったボールをできるだけ早くゴール前へ運びシュートへ結びつけようという戦術だ。この戦術の中心は、1対1のデュエルに強くボール奪取率の高い遠藤航になる。遠藤が構える中盤でボールを奪い素早く前線へ運ぶのが狙いだ。  ただ、いくらデュエルに強い遠藤といえども、ひとりでボールを奪えるほど甘い相手ではない。ボールを奪うためには全員の連動した動きによるプレッシングが必要となるのは現代サッカーにおいて当たり前のことだが、本大会の日本代表ではトップの選手がキーマンになる。そのタスクは前田大然、浅野拓磨に与えられることになるだろう。相手の最終ラインが保持するボールに対してトップの選手がプレッシャーをかけることで、チーム全体が連動する守備のスイッチを入れる。  加えて前田、浅野ともにスピードがあり、その速度で追い立てられるとどんなに技術のある選手でも時間的な余裕がなくなることは必至である。これが大迫や古橋が外された理由のひとつだろう。個の特徴を生かすフィロソフィーを掲げるがゆえに、違った個性を持つ選手をより多く集めて戦術に幅を持たせると思われがちだが、本大会で勝ち上がるという目標を達成するために戦術を絞り込み、今回は同タイプの選手を招集した。5人まで交代できるという今大会からのルールを最大限に利用し、同タイプの選手を交代させてクオリティを落とさないことを考えているのではないだろうか。
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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