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森保JAPAN、負傷者続出で立ち込める暗雲。W杯本戦では新星に期待が

ハイプレスが生きる展開は?

難しい舵取りを迫られた森保監督

 トップクラスのチームでも長時間の継続は難しいと言われるハイプレスを中心とした守備戦術は、同タイプの選手を交代によって使い分けることで疲労によるクオリティの低下を防ごうとしている。それでもドイツやスペインを相手にした試合ではボールを支配され、中盤の守備ラインを突破されることが多々あるだろう。しかし、それは最終ラインにデュエルの強い選手を並べて守り切ろうと考えているように思う。特に、近年のサッカーではドリブルで相手を抜き去ることに優れた選手はサイドに配置することが多い。そこで、冨安健洋のサイドバック起用を実現させてもらいたい。冨安は所属のアーセナルでサイドバックとして起用され、世界トップクラスのアタッカーを抑え込むエースキラーとして名を馳せている。右の酒井宏樹は比較的デュエルに強い選手なので、冨安は左で起用し相手のサイド攻撃を封じ込めてもらいたい。  1対1での突破を容易に許さない最終ラインを構築できれば、相手の攻撃陣に対して予備的に人を余らせておくような守備ではなく、数的同数までは許容範囲ととらえられる守備ができる。そうなれば前線でプレッシャーをかけられる人数を増やすことができ、よりハイプレスが生きるという相乗効果を生み出せる。

大迫が外れた理由

 攻撃に関しては、相手の陣形が整う前にボールをゴール前まで運ぶことがポイントになる。そのために前線はスピードのある選手とそこへのキーパスを出せる選手を並べるのではないだろうか。前述した前田、浅野もスピードに優れているが、加えて突破力を持つのが伊東純也だ。彼らがゴール前までボールを運ぶタスクを担う。その彼らが有利な形でボールを受けられるように演出するのが鎌田大地、久保建英のタスクとなる。極端にタスクを絞った言い方をすれば、前田や浅野、伊藤が相手最終ラインの裏のスペースを狙うのが最優先となり、鎌田や久保は最終ラインとMFラインの間でボールを受けて最終ラインの裏を狙うパスを供給するタスクが優先される。  ここにも大迫が外された理由がある。大迫は味方ゴール方向に下がってきてボールを受け攻撃の起点をつくるプレーを得意とする。一方、相手の最終ラインに対してその背後を狙う動きは比較的少ない。このようなプレーは相手に奪われる確率を下げつつ相手ゴール方向へボールを運べる利点はあるのだが、攻撃のスピードは落ちる。さらに、裏のスペースを狙わずに引いてくるポジショニングでは、相手のDFラインとMFラインの距離を縮めることになり、密集をつくり出した相手にボールを奪われやすい形をつくることにもなりかねない。2列目に高いクオリティでプレーし決定的な仕事ができる鎌田や久保がいる以上、彼らができるだけ自由にプレーできるように可能なかぎり彼らへのプレッシャーを軽減するのがチームのタスクという考えに森保監督は至ったのだろう。
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決定力は運任せでいいのか?
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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